本日晴天!

「裕飛」

ぼけーっと空を眺めていると遊びに来ていた三郎が俺を呼んだ。今日ははちも雷蔵も兵助も勘ちゃんもみんな委員会やお使いでいなくて、毎回ちゃんと仕事をしているのか不明の三郎と部屋で2人きり。本当は俺も委員会ある日なんだけど留先輩が“今日は作業道具を買いに行くだけだから”と言って中1の3人を連れて街へ出掛けたので必然的に休みになった

「暇だな」
「勉強すれば?」
「裕飛私が遊びに来てあげたのに、なんて冷たい態度なんだい」
「遊びに来いなんて頼んでないし」
「私は暇なんだ」
「知らんがな」

三郎が暇であろうと無かろうと俺には全く関係がない。いつも以上に引っ付いてくる三郎を無視して外を眺めていると、大量の洗濯物をせっせと運ぶ中等部1年は組の二郭伊助くんが目に入った
((あの洗濯物、すげー見覚えあるんだけど…))

「あ…」
「どうしたんだい、裕飛?」
「三郎、ついてきて。暇つぶし見つけた!」

俺は笑って三郎の手を引いて、2人で部屋を出た

「暇つぶしってこれかい?」
「その通り!」

三郎を引き連れてやってきたのは中等部1年は組の寮でちなみに我が愛しの弟団蔵と佐竹虎若くんの部屋の前である

「まさか私に団蔵とお前の熱愛ぶりを披露するために呼んだのか?」
「ちげーよ、あ…伊助くん!」

三郎の質問に“そんなのいつもだろ!”って言おうとしたときに廊下の奥から雑巾とバケツを持った伊助くんを発見し声をかけた

「鉢屋三郎先輩に加藤裕飛先輩!どうなさったんですか!?」
「うーん?ちょっと伊助くんの姿を見てね。ところで伊助くん委員会は?」

今日は朝早くから兵助が委員会があると言って出掛けていったのに同じ委員会である伊助くんがなぜここにいるのか(兵助の委員会はただでさえ人数が少ないのに…)

「実は久々知先輩に頼んで少しだけ休憩をいただいたんです。団蔵と虎若の部屋に洗濯物が大量にため込まれてて…今日天気がいいので…」

伊助くんは大の綺麗好きと言うか掃除好きで、よく団蔵から“部屋の掃除を手伝ってもらってる”と話を聞くけど、それが頻繁にあるから申し訳ない。しかも委員会休んでまで…

「なんかいつもごめんね…」
「いえ、大丈夫です!」

そうは言っても終わったら委員会だってしないといけないし、兵助も人手不足で大変だろう

「伊助くん、俺と三郎が代わりにするから委員会行っておいで」
「はぁ!?」
「え、でも…」
「いーから、臭いのだったら平気だし。つか慣れてるし。ここ掃除した後委員会するのは大変だろ?」
「だけど、裕飛先輩と鉢屋先輩に迷惑かけるなんて…」
「私するなんて一言も言ってないよ」
「三郎!…もししてくれたら今度の予算会議で前に三郎が言った案を実行する事を約束する。ちなみに留先輩から了承も得た(小声」
「よし!やろう!」
「…ってことで俺ら2人がやるから行っていいよ」
「ありがとうございます!裕飛先輩、鉢屋先輩!」
「おー」
「行ってらっしゃーい」

伊助を説得して、走り去る小さな後ろ姿を見送って部屋の扉を開けた

「う…すごいにおい」
「三郎はえーよ。おーい団蔵」
「あれぇ!?兄ちゃん!」
「この部屋、裕飛とはちの部屋よりひどいな…」
「黙れ三郎」
「あ!鉢屋三郎先輩も!」

部屋に入ると窓は開いているはずなのになぜかじめじめしている部屋に団蔵と虎若くんが見えた

「兄ちゃん、どうしたの?」
「部屋掃除に来たの。つかだめだろ、伊助くん今日委員会あるのにこんなことさせて…」
「「ごめんなさーい」」
「わかれば良いです」
「…裕飛なんでそんなに普通でいられるんだい?」
「昔から団蔵の部屋掃除してて慣れてるから」

だてに兄弟じゃないんだからね。つかこの臭いも団蔵がしたと思うと可愛げがあるじゃない?

「…変態」
「何?三郎自分のこと言ってるの?三郎はMなの?」
「裕飛最近雷蔵に似てきたよね」
「そうか?いや…照れるな」
「褒めてない。褒めてないけど…裕飛は笑うとかわいいな。どれ部屋掃除を手伝う代わりに私と一夜を共にす…がはッ!」
「兄ちゃんに手を出さないでください!鉢屋先輩!」
「団蔵ッ!かわいい!」
「兄ちゃん、お掃除手伝ってくれるんじゃなかったの?」
「やるやる。はーやっぱり団蔵好きだよ」
「僕も兄ちゃん大好きだよ!」

わっ!その顔満点だ!本当に団蔵がやきもち妬くなんて…やっぱり天気がいいといいことあるって本当なんだな!

「鉢屋先輩大丈夫ですか?」
「…上級生に手を挙げるなんて」
「団蔵も結構裕飛先輩のこと大好きなので…」
「裕飛だけがブラコンだと思ったら、弟もそうなんだな…(じゃなきゃあの歳であんなに仲良くないよな…)」
「三郎も虎若くんも話してないで掃除しろー」
「えー」
「はいッ!」
「…三郎あとであの事雷蔵に言うから」
「やります!」

ぱたぱたとみんなが動くのをみて、俺はまた窓を拭きながら空をみた。明るく優しい光が気持ちいい
((こんな日もたまにはいいよな…))


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