ドキッ!野郎だらけのお泊まり会にて〜残念ながらポロリはありません〜
2013/04/23 23:35
深夜のケーブルテレビは時々、強く興味をそそる。
ぼうっと眺める事もせず、電源をつけたまま様々な番組を垂れ流しにしてたおれは、なんの気なしに番組表を開いた。
良さげなタイトルを見つけ、お、と思う。
「なあ、口裂け女やるみてーだけどさ…ティーズ観る?」
遊びに来ていた友人の一人に尋ねると、黄色い耳をぴこ、と動かした。
「観る!ホラー観るの好きだぜ!」
即答だった。
くりっとした目を輝かせて、早く始まんねーかな、と期待でうずうずしだした。
今日はうちに野郎ばっか四人くらい遊びに来てるわけだが、ちょっと前に別の部屋を見たら他の三人はウノやりながら寝てた。
遊びながら寝るとか幼児か。はしゃぎすぎか。
ともあれ、おれはゆっくりと腰をあげた。座りっぱなしだったからか膝やら腰やらがぺきっと鳴った気がする。
「ん…、じゃあ夜食つくってやんよ」
といってもそう時間があるわけでもなし。
確かインスタントの春雨かなんかがあったはずだ。
それでもいいなら、と付け加えるおれをみて、ティーズはぽかんとしていた。
「カルンが行動的だ」
確かに、普段とは違ってかったるい気もしなけりゃ面倒だとも思わない。
「っせーな腹へるんだよ、夜中は」
多分、おれも映画が楽しみなんだと思う。
*
静寂。
ぴんとはりつめた空気を破り、突如現れる姿は都市伝説に語り継がれる女そのもの。
わかりやすい、大きな音とともに現れた。
「わあああああ!」
同時にティーズが叫んだ。
「夜中だぞこら」
夜食の春雨をすすりながらぽつりと言うと、ティーズはしゅんとした。
「すまん」
「わかればよし」
とはいえ、ホラー好きながらも怖がりであるというのはよくあるが、ここまで絵にかいたような反応ができるものか。
オーバーなリアクションなど生まれてこの方とったことのないおれは、ちょっとばかり感心してさえいたのだが。
「しかし良く食えるよなぁ…」
ティーズはティーズでおれの食欲に感心している。
お喋りで気を紛らわすって魂胆だな。了解了解。
「あんたの分も作ってあるぜ」
「もうなんかそれどころじゃなくなっ」
言いかけて固まった。
おい、人の顔みてビビるとはどういう了見だ。
おれは口裂け男じゃねーんだぞ。
「カルン、口」
「あ?ちゃんと二つあるぞ…、裂けてねーけど」
「違えよ口から血出てんぞ!!」
「血だァ…?」
口元を拭う。
インスタント春雨のスープじゃねえか。
「や、やべえよ…カルンまで口裂けちまう…」
「おい、これ担々麺風味なだけでな」
ほれ、と食ってた春雨のカップを見せてやれば、へ、と気の抜けた声を出した。
「担々麺」
「そう担々麺」
「まじかよ…安心した」
スープが血液に見えるとは。どんだけこの映画に不安を煽られてるっていうんだ、あんた。
怖いものみたさ、怖いもの観ちゃったさ
(っていうか寝れんのあんた)(シンミャとオールする)(あいつ寝たぜ)
*
ティーズ、モルビド、ハガル、シンミャがどよどよとカルンの家に遊びに来たよ!で、なおかつ春雨食いながら夜更かししてホラーみるよ!な話でした。
思い付きに任せて書いた話。
口裂け女は怖いのに目の前のやつが二口男なのはスルーする謎。
春雨の味はチゲにするか担々麺にするか忘れました。
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