もう少しがんばりましょう(ぬるい15禁 )

2011/03/16 00:31


子守唄のように小さな小さな呟きが、至近距離でゆったりと囁かれる。
普段、誰かのタマゴを抱えているのと同じ腕の中に捕らえられた彼女は、心地好い微睡みを感じ始めていたのだろうか。


「オレはね、キミが思うほどには紳士的じゃあないと思うんだよね。ごめんね、レティちゃん」

「んー?ディレムくんは悪者なのかなー」


突拍子もない謝罪にそっと返すと、彼はばつの悪そうな顔をして、「多分、間違ってはいないと思うよ」と、答えた。

ごめんね、再びそう聞こえたのと丁度同時だろうか、髪を撫でる手が、下へ下へとおりていくのがわかった。背筋に沿って手のひらが踊ると、レティは笑って身をよじる。


「くすぐったいよー」


服の布地一枚越しに触れるグラマラスな体の線。それを守るものの少なさにも、ディレムは様々な意味合いでどきどきとしていた。

彼は自分でも、馬鹿なことをしている気にはなっていた。ムードもへったくれもなく、あまりに突然、何かがぷつりと途切れたように、彼女の体に指を這わせ始めたのだから。

けれど思いとは裏腹に、まるで指先の一本一本が、小さな虫のように普段は触れないはずの部位へと近づいていく。進んでいく。
一方は内腿へ、一方膨らみへと伸びる。

ぴくり、と、体が跳ねる。
それは先程までの反応とは纏う雰囲気が違う、艶かしい、一瞬の動作だった。

ディレムははっとする。
この一線を、果たして越えてもいいものだろうか。
急に申し訳なくなった彼は、レティの髪に手を戻した。


「あれ…続けないの?」


きょとんとした様子で訊ねるレティ。その瞳は純真無垢にも、艶っぽく潤んでいるようにも見え、しかしぴたりとあった視線をそらせずに、ディレムはどういうわけか口元を緩める。


「…続けてもいいのなら」


二人の間の会話では珍しく恐る恐る答える。
すると彼女はつん、と彼の額を人差し指でついた。


「もう少し、度胸をつけてきてからね」


じゃないとダメだよ、と言葉を結ぶ。
安寧は崩されることなく、午後のひとときだけがまた過ぎて行く。
敵わないな、そう参ったようにこぼす声が聞こえた気がした。



ぬるまった吐息
(十分すぎる熱源と、不十分な覚悟)


*
いつもお世話になっているいばらもりさん宅のレティさん(ヤブクロン♀)をお借りしました!
ディレム(ウルガモス♂)がコトに及ぼうとそわっそわしているようですがどうにも平和な終わり方でした
仕方ないね
ぬるいけど一部においてお子には見せられないので15禁くらいでしょうか。
恋人承認ありがとうございました!


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