混部パラレル | ナノ


「「ジョセフ・ジョースター!?」」

目の前の、ジョセフを名乗る男を見て、仗助とジョリーンは酷く驚愕した。
声を揃え、今にも飛び出さんばかりに目を見開いた二人を見て、ジョセフはニヤリと嫌な笑みを浮かべる。


「やっぱりこの最初の反応ってたまんないねー!!」


どうも訳知り顔が気に食わない。
二人がジョセフに訝しげな視線を送っていると、家の奥から感じの良い男がニコニコしながら出てきた。


「ジョセフ、早く中に入れてあげなよ」

「あぁ、分かったって、お爺ちゃん」


「「お爺ちゃん!?」」


すぐに渾名だと思った。
お爺ちゃんと呼ばれた男は孫が存在するには若過ぎるし、お爺ちゃんっぽいからと理由付けるには爽やか過ぎる。見た目では分からない年寄り臭さでもあるのか?
それにしても、酷い渾名だ。


「やぁ。えーっと…」

「仗助っす」

「ジョリーンよ」

「仗助、ジョリーン、よく来たね。僕はジョナサン・ジョースター」


やはり年寄り臭さ等感じさせない爽やかな笑みで手を差し出したジョナサンは、顔は確かにジョセフに瓜二つだ。ジョセフより圧倒的にジョナサンの方が落ち着いているが……。
そんなジョナサンは、ジョリーンと仗助と握手を交わした後、笑顔で爆弾を投下する。


「ジョセフの祖父だよ」

「えぇ!?」
「嘘!?」


こんな笑顔で、そんなバレバレな嘘をつける人間がいるだろうか。
いや、居ない。
とは言え、はいそうですかと信じることもできない。
にわかに信じられない二人は、眉を寄せてジョセフとジョナサンを交互に見比べる。
何度見ても、見た目は同い年くらいだ。


「よくわかんねーけど、本当に俺のお爺ちゃんなんだよ」

「いや、本当に訳わかんないっす」


混乱する仗助に、ジョセフはニマニマと笑みを浮かべる。
「そりゃあそうだよなー」などとオーバーなリアクションで頷き、「じゃあさ」とジョセフは仗助を覗き込んだ。
どうでも良いが、顔が近い。


「お前が知ってる承太郎は何歳だ?」

「は?」

言っている意味が分からない。
仗助が眉間のシワを深くして至近距離で覗き込むジョセフから距離を取るべく仰け反ると、隣で見ていたジョリーンが「40歳」と答えた。


「え?」

驚いたのは、意外にも仗助である。
意外な反応が意外な所から返ってきて、ジョリーンも驚きを隠せない。


「なに?あんた、お父さんを知ってるんじゃなかったの?」

「いや…知ってるが、俺の記憶では…たしか、30位だったはずだ…」


意味が分からない。
怪訝な顔をしたジョリーンの肩を、ジョセフがポンと叩いた。


「どっちの記憶も正しいんだと思うぜ?ただし…」

「うわっ!」

「ちょっと、何!?」


散々勿体つけたジョセフは、一々驚く二人の様子を心底楽しんでいる様で、突然クルッと背を向け、二人の手を掴んで走り出す。


「何だよ!!」

「放しなさいよ!」

突然引っ張られて猛抗議する二人にお構いなしで、ジョセフは階段を駆け上がる。
嵐のような騒々しさでいきなり初対面の二人を引っ張り回すジョセフは、やはり心底楽しそうに二人を振り返って笑った。


「承太郎に会わせてやるよ!」



唐突な提案に心の準備も出来ないまま、ジョセフの手に引かれて、二人は二階の奥の部屋に飛び込んだ。
玄関の扉と同じ様に凄い勢いで開かれた扉の部屋に入り、ジョセフの後ろから床に胡座をかいて座って雑誌を読む人の影を見た。


「承太郎、客だぜーっ!!」

「ジジィ!!!いい加減人の部屋に飛び込むんじゃねーぜ!…身内でも、いい加減ぶっ飛ばすぜ??」


ゴゴゴ…と有り得ないほどの凄い剣幕で振り返った男の顔を見て、ジョリーンと仗助は言葉を失った。

どう見ても学生で(学ランを着ていなかったら同じ様に思ったかどうかは謎だが…)、自分達の記憶よりも随分若いが、今にもジョセフを殴り倒しそうな剣幕のその男は、どこからどう見ても、空条承太郎その人だった。