まるでそれは(ソルジェラ三角関係)


「どういう関係だと思う?」

メローネの言葉に、リゾットとホルマジオは首を傾げた。
彼の話題提供は、唐突なくせに主語がないのだ。


「ソルベとジェラートと、名前の事だよ」


なるほど。
メローネが関係性を疑うのはもっともだ。
我が暗殺チームの紅一点である名前は、配属からまだ日が浅い。
どうしてこのチームに追いやられてきたのかと言えば、(はっきり裏づけはないが)ギャングに向いていないからだ。
スタンド能力はあり、恐らくその能力もかなり強力。組織として放置は出来ないが、性格的に向いてないのだ。
そんなおっとりとした名前が配属され、リゾットもさすがにどうしたものかと考えていると、世話焼きなジェラートが教育係に名乗りを上げた。
このチームの中でも彼とソルベはかなり…そう、つまり…スプーキーな方に分類されるのだが、どういうわけか面倒見はいい。
そんな彼だから、心配半分、安心半分での教育係を頼んだのだが…。


「ソルベとジェラートってデキてるんだと思ったけど?」

「まぁ…そう予測している奴もいるな」


主にプロシュートがそう言っている。
曖昧に濁すリゾットに、メローネは「絶対出来てるって。リーダーも本当はそう思ってるんだろ?」と詰め寄るが、リゾットは「さぁな。本人に聞いたことはないから分からない」と名言を回避する。


「その割にはジェラートが名前に入れあげてるよな?」


そうなのだ。
いつも四六時中を共にしていたジェラートとソルベの間に名前が挟まれ、彼女の方から根をあげるかも知れないというリゾットの予想は大きく裏切られた。
ソルベにべったりだったジェラートが名前にずいぶん入れあげているのだ。
それが恋心なのかどうかはさておき、よく三人でいるのを見かける。


「もしかして、ジェラート…乗り換えたとか!?」

「めったなこと言うなよ、しょーがねーなぁ。こういう話になるとどうしてそう生き生きしてくるんだ。オメーはよぉ」


がりがりと頭をかき混ぜたホルマジオも、「まぁ確かにちょっと気になるけどな」とつぶやく。
どうやら彼も暇を持て余しているらしい。


「何だよ、ホルマジオも名前のこと狙ってたの?」

「はぁ!?そんなんじゃあねーよ。どうして女とわかりゃあ食い掴んだお前は」

「女を口説かないなんて、イタリアーノじゃねーじゃん」


国中のイタリア男に謝るべきである。
彼ほど見境のない男はなかなかいない。イタリアーノだって。決めた女が一人いれば、容姿や気遣いの出来る女を褒めこそすれ、口説いて手を出して歩いたりはしない。
口説くと褒めるは別物なのだ。


「まぁそれは置いといてよぉ。ジェラートを取られてソルベは平気なのかな?」


メローネは相も変わらずソルベとジェラートが出来ている体で話を進めるつもりらしい。
もう否定するのも面倒になって、ホルマジオとリゾットは黙ってメローネの言葉に「さぁな」と首をかしげた。
どうせ何を言っても自分の推論で話を進めるのだから、口を挟まないのがベストだ。


「まさか、ソルベはジェラートと名前との3P狙いとか!?」

「おい、それ以上喋るな歩く18禁。これ以上は鍵付に移動になるぜ」

「なに言ってんのホルマジオ?」


メローネが「変なのー」と笑っていると、ソルベがひょこっと現れた。
別に共同スペースなのだからおかしな事ではないのだが、彼が一人で現れるのはとても珍しい。


「…ソルベ、一人か?」


思わずリゾットがそう尋ねると、ソルベは「ん?」と少し驚いた表情をして頷いた。
コレはいよいよメローネの推論があたる兆しかも知れない。
いや、3人でどうこうではなく、ジェラートの心変わりのことだ。


「ジェラートが名前と買い物に出かけたんだ。ついて行こうかと思ったんだが、ジェラートに止められたからな」

「えぇ!?それで引き下がったの!?」

今度はメローネが目を見開く。確かにコレは驚きの事実だ。
ホルマジオもリゾットも、さすがに驚きを隠せない。
ジェラートがソルベを連れて行かないなんて、一体どういうことなのか。









「下着買いに行くらしいからな」













「「「はぁぁぁぁあっ!?!?!?!」」」


部屋が揺れるほどの声量に、ソルベは思わず耳を塞いだ。
メローネとホルマジオによるところが大きいが、リゾットも珍しく瞠目して声を荒げている。
もはやどこから突っ込めばいいかも分からない。


「リーダー、名前がジャッポーネって知ってたのかよ?」

「え?」

「ジャッポーネ!?名前が?道理でミステリアスだと思ったぜ!!ディ・モールト、ディ・モールト良しっ!!」


戸惑うホルマジオと喜ぶメローネを交互に見て、リゾットは「何か問題でもあるのか?」と答えた。
リゾットはどうやら名前が日本人である事実を知っていたらしい。


「いや、私生活に若干の支障をきたしてるみたいだぜ?」


なるほど、それでソルベなのか。
確かにメローネではおかしな趣味を押し付けられかねないし、リゾットやホルマジオにはその手の店は分からない。
イルーゾォやギアッチョとペッシは恥ずかしがって嫌がるだろうし、プロシュートはそういう店に入ることを好まないだろう。


「だが、どーしてそんな店をジェラートは知ってるんだよ?」


尤もな質問をするホルマジオにつられるように、リゾットは水のボトルを空にしたソルベを見上げた。
三人の視線を受けて、ソルベも不思議そうな顔をしている。


「ジェラートに知らないことなんかねぇよ?」


答えになっているかなっていないのか、全く謎である。


「アイツは昔から何でも器用にこなすし、何でも知ってる。そこが良いんだよ」


これ以上聞きたくなくなってきた。「へぇ…」と誤魔化すリゾットとホルマジオに対し、メローネは興味深そうに目を輝かせている。これはマズい兆候だ。


「ジェラートを名前に取られちゃったな、ソルベ」


ほら見たことか。
スッと目を細めたリゾットとホルマジオに気付きもしないソルベは、飲み干したボトルを手の中で転がしながらソファーに腰を降ろした。
話が続く様子だ。


「そーなんだよ。ジェラートの奴、名前の世話焼く事にすっかりハマっちまってよぉ」

「名前とジェラートってどんな雰囲気なんだよ?」


頼むから黙ってて欲しいと思う反面、そこのところはとても気になる。
黙っていたリゾットとホルマジオも、ソルベの方にチラリと視線を向けた。


「なんつーのアレ。アレだよ…」


ソルベのアレは、ジェラートにしか伝わらない。
困惑した様子で三人がソルベが思い出すのを待っていると、「女子会って言いたいんじゃねぇよな?」とジェラートの声が背後から聞こえた。
帰宅したらしい。
名前が何の事か理解できずに、いくつもの買い物袋を抱えて首を傾げている。


「あぁ、それだよそれ!!さっすがジェラート」

手をたたいて喜ぶソルベに、ジェラートは何とも言えない表情をしていた。
お帰りと名前にハグをしたソルベは、三人を振り返って「そう言うこと」と笑う。
しかし、ジェラートはそれを良しとしていない様だし、ジェラートとソルベの関係性は相変わらず謎なままだ。


「名前、良いもの買えた?」

「うん、ジェラートったら本当に何でも知ってるの!」


ソルベの質問に、名前は珍しく興奮気味に答えて笑う。
と言うか、下着を買いに行ったってのに何て質問をしているんだ。
ある種の勇者だな。そうホルマジオがリゾットに耳打つ隣でウズウズしていたメローネが名前に駆け寄って飛びつく。


「名前、今度は俺にも相談しなよ、とびきりセクシーなのを上から下まで揃えてやるから!!もちろん試着は俺の前でな」

「グラッツェ、メローネ。でも恥ずかしいからよしとく」


サラリとかわされたメローネは、さらに興奮した様子で「ベネ」とにやけている。全く、彼の趣味はどうしたものか…。


「じゃあ片づけるか。ソルベ、名前の荷物運ぶの手伝ってよ。名前の奴服も収納もほとんど持ってなかったんだ。重いもの頼む」

「オッケー、名前、それも持つよ」

「グラッツェ」


ジェラートの指示でソルベと名前が出て行ったドアを見つめ、ホルマジオは呆れたように呟いた。


「まるで兄妹だな。アイツ等がキスしててもやましいことはねぇ気がするわ」

「それはそれでベネ!」

「…まぁ、うまくいってるなら良いか」








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分かってます。甘さ不足の三角関係かどうか怪しい出来ですごめんなさいー(+_+)
でも仲良し暗チかけて満足。←




(20/21)
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