続・これで勘弁してください(混部逆ハー・sideジョースター)


「どうしたんだい?名前…そんなに息を切らせて」

ジョナサンは紙袋に入った荷物を抱えたまま、名前が息を切らして座り込んでいることに気がついて声をかけた。
こんな道端で女の子が座り込んで息を切らしてるなんて、きっと何か大変なことがあったに違いない。


「ジョナサン、こんにちは…それが、ちょっと色々あって…」

「色々……、まさかディオが何かしたのかい!?」

「いえ、DIOの頭を膝から勢い良く落としちゃって…」

ディオ違いなのだが、うまく伝わっているか少々不安である。あの傲岸不遜のディオを唯一叱りつけるジョナサンは、ディオの事をいつも本当の兄弟のように気にかけている。厳しいのも愛情なのだろう。


「何もされなかったかい?」

「えぇ、痛い思いをしたのはDIOだけ。…」

あとディアボロ。
そう付け加えようとして、ディアボロが痛い思いをした原因がDIOだと悟られるのを避けるために名前はそこで口を閉じた。


「なら良いんだ。これから家で三時のおやつのお茶会をするんだけど、一緒にどうかな?」


ありがたい申し出だ。
プッチの紅茶は飲み損ねたし、小腹は空いたままなのに全力疾走する羽目になってお腹はペコペコだ。二つ返事で頷き、笑うジョナサンとジョースター家へと向かう。


「おかえりなさいジョナサンさん、お邪魔しています」

リビングからヒョコッと顔を出したのは承太郎と同級生の花京院だ。遊びに来ていたらしい。
名前を見つけた花京院はちょっと驚いた様子を見せて一度引っ込むと、部屋から承太郎とともに出てきた。

「ちょうど名前の話をしていたんだよ」

「えぇ?私の?」

「テメーを誘ってどっか出掛けるかって話になってな…」

相変わらずのポーカーフェイスの承太郎の言葉はとても魅力的だが、名前はそれよりもお腹が空いている。


「今から?」

困ったような顔をしていると、ジョナサンが「駄目だよ」と口を挟む。


「名前はお茶会に誘ったんだ。先約は僕だからね」

これには二人も諦めたようだった。そんな訳でお茶会とやらに二人が加わる。


「他に誰が来るの?」

「ん?取りあえず連絡出来る人には声かけたんだけど」

「じぃちゃん!来たよー!!…っと、ラッキー!!名前が居るじゃねぇか!!」

ドカドカと騒々しいのはジョセフだ。


「逢いたかったわよーん、ハニー!!」

「ブフッ!!」

195センチの巨体に飛びかかられ、名前はその厚い胸板に顔面を強打した。鞭打ちになりそうだ。
相変わらず自分の巨体を考えない行動が名前を遠慮なく追い詰めていく。


「おいジョジョ、いい加減名前を放さないか!!俺が挨拶できないだろうが!!」


強引に引き離されたジョセフが大声で悲鳴を上げたところを見ると、これは波紋でも流したに違いない。どうも強引な人間ばかりで困る。


「チャオ、シニョリーナ。会えない夜は俺の事を思い出してくれたかい?」

「こんにちは、シーザー。夜は毎日グッスリ快眠よ!夢も見ないわ」

「つれないところも魅力的だよ」

危うくキスでもしそうな距離に近づいてきたので、名前はイナバウアーさながらに仰け反る。イタリアーノは女性を口説くのが宿命だなんて難儀なものだ。


「名前、お茶の支度を手伝ってくれないかい?」

「分かったわ、ジョナサン」


スルリとシーザーの腕を掻い潜り、名前はダイニングへとお邪魔した。
大きく長いテーブルの中央にはお花が飾られ、白地に花を散りばめたデザインの金縁の食器が並ぶ。手伝って欲しいとは言われたが、どうやらほぼ準備は調っているようだ。


「ふん、名前も居たのか」

「あれ、ディオ!!さっきDIOに会ったわよ」

「一緒にするな。不愉快だ」

「…同属嫌悪?」

「名前、俺とあの男の決定的な違いは、俺は紳士でアレは化け物だということだと何度も言っているだろう?俺は紳士だ。分かるだろう?名前」


何度も繰り返しそう言いながら、ちゃっかり腰に手を回すのは紳士の嗜みですか?


「おいテメー…」


承太郎の声に、名前は目を細めた。
小腹は空いているが、どうもお茶にありつける予感がしない。どうして変に競うのか。ケンカの口実に使われているような気持ちにすらなってくる。


「気安く名前に触るんじゃあねーぜ」

「ふん、触ったからといってどうなると言うんだ?スタンドとやらで俺を殺すのか?」

「…テメーにスタープラチナは贅沢すぎるぜ。この俺が直々にぶちのめす!!」


全く、どうやら今日はお互いに腹の虫の居所が悪いらしい。いや、もしかすると自分に運が無いだけかも知れない。
ジョナサンの静止も聞かずにバチバチと火花を散らす二人を眺め、名前は空腹を訴える腹を押えて溜息をついた。



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書いてみて思ったんですが、ギャグって乱暴者がたくさん居る方が書きやすいです。
例えば花京院とかシーザー、あとジョナサンはおとなしいからギャグにしにくい。こうなったら空気読めないキャラにするしかないな。と…。これじゃあ拍手文の混部ギャグと同じ流れになる。
奥が深くて難しいです。
もっと研究したいと、そう思います。





(3/4)
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