これで勘弁してください。(混部逆ハー・side荒木荘)


「何をしている」

名前は目の前で威圧感を放つ声の主を、肩を竦めながら恐る恐る見上げた。


「ひ…膝枕…だけど?」

名前の柔らかな膝の上で暢気に昼寝をしている男を見下ろし、DIOは明らかに不機嫌そうに眉を寄せた。
すやすやと眠っているのは、めったにそんな姿を見せない吉良由影だ。
ここ数日ろくに眠れて居ないと言っていたが、それを口実に名前の膝を借りたのだろう。
不眠気味だったことなど嘘のように、安らかな顔をして眠っている。
しかも手を握って!!!!


「ならば私にも膝枕をするのだ!!!」

サッと横になり、DIOは吉良の頭を自分の頭で半分押し出して強引に割り込む。
全く、いい歳(百歳越えのドシニア)の癖にどうも子どもっぽい。
「うぅ」と唸る吉良に用心しながら、名前はDIOをペシンと叩いた。

「ぬ…ケチケチするな。ほら」

「??」

ほらと差し出された手の意味が分からず首を傾げていると、DIOはあからさまに馬鹿にした様子で溜息をつき、名前の指を強引に絡めて手を合わせる。


「DIO?これじゃあ全く動けないんだけど??」

吉良を起こさないように小声で抗議するが、DIOは既に小さく寝息を立ててる。
よく見れば時計はまだ昼間の三時を指しており、彼が起きているには不自然な時間帯だ。
これには名前も嫌な予感を感じさせずには居られない。


「この部屋だな?」

ドアの外から聞こえる声は、暗に名前の予想の的中を示している。
殺されないかとヒヤヒヤしながら耳を欹てると、外から「三人…だと?」と声が聞こえた。


「誰が居るというのだ!!」

ばーんと大きな音を立てたカーズが、光の流法で攻撃するより先に中の人間を確認した気まぐれに心の底から感謝した。
室内にいながらうっかり殺されるなんて真っ平ゴメンだ。


「名前!!どうして来ているなら私のところに顔をださないのだ!!!」


大声で怒鳴りながらずかずかと部屋に踏み込むカーズに、眠っていた吉良がムクリと起き上がった。
これは機嫌が悪そうだ。


「む?おい、そこの二人はなぜ名前の膝に頭を乗せている!!私ですらそんな事をしていないと言うのに!!!」

「うるさい。いくら究極生命体と言えど、木っ端微塵に爆破してやればその無駄口も塞げるだろう…。キラークイーンは既に貴様に触れている!!!」

「駄目駄目!!!ストップストップ!!!!」


慌てて二人の間に立ち塞がり、名前は心地よい昼寝を妨害されて怒り心頭な吉良を慌てて宥める。
カーズも「スタンドだと?目に見えぬ力は厄介だ」と眉を寄せて研究者の流法に入っているが、これは放っておく。


「吉良さん、おはようございます。丁度三時なので、おやつにしませんか?」

「あぁ、名前。君の手を握っていると良く眠れるよ。どうだろうか。私だけの彼女にならないか?」

「それは、ご遠慮します」

あっさり断るのも気が引けるが、ピクリと殺気だったカーズの手前、はっきりと断っておいたほうが良いと判断した。
吉良のことは嫌いではないが、手首だけになるのはゴメンだ。

「DIO今日のおやつは…なんだ、昼寝しているのか?」

「プッチさん、こんにちは」

「あぁ、いい天気だね名前。一緒にお茶でもどうだい?いい茶葉が手に入ったんだ」

にっこり笑うこの家の神父は吸血鬼を信仰している。
笑顔や物腰を見ている限り善人だが、注意が必要だ。
とは言え、彼が良い紅茶だというのだからとってもいい紅茶なのだろう。
丁度三時で小腹も空いている。

「それは当然私の分も用意されているのだろうな」

ギギギと開いたたんすのドアから今日も綺麗に髪をカールさせた男が出て来る。
たんすの中からと言っても、彼がたんすの中に入っていたわけではない。
たんすの“ドアに挟まれて出て来た”のだ。

「ファニー大統領。こんにちは」

「親愛なる名前、そんな日本式な挨拶ではなく、私の国の方法で挨拶してくれないか?照れることはない」

彼の国というのはアメリカ合衆国のことだ。
ファニーがスイっと頬を差し出し、ただの挨拶だと分かっていても照れくささに顔が熱くなる。
その瞬間グイッと後ろに引っ張られ、名前が目を丸くして振り返ると眉をヒクヒクと動かして表情を引きつらせたDIOが名前の肩を掴んでいた。
とてもご機嫌がいいようには見えない。



「名前…。貴様、このDIOの頭を床に叩き付けるとはいい度胸だ…」

「おっと!!これはいけない!!!ジョースターさんとの約束を忘れるところだった!!」

「名前、それで逃げれると思っているのか!?」


伸ばされた手をすり抜けて名前が部屋を飛び出すと、突然現れた影が飛び出してきて慌ててしゃがみ込んだ。
「うをぉ!?」っと声が聞こえて名前はようやく顔を上げた。

「こんにちは、ディアボロさん。今日はちょっともう失礼するわね」

「なんだ、まだ帰らなくてもいいじゃあn…「名前ーーーーーーっ!!!!!」

「ごめんなさーーーーい!!!!」


――ドガガガァァアアアン……

「ディアボローっ!!!」

あぁ、また今日もこのパターンか…。
名前はディアボロに心内で土下座しながらその建物を飛び出した。
DIOも高く日が上っているこの時間に外まで追ってくることはない。
DIOには今度、お気に入りのプリンを持っていく事で許してもらおう。
ディアボロには明日にでも安全を確保するための防具を買い揃えてあげるべきだろう。それで手打ちにしてもらおう。
そう、心に決めた。


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ありがとうございます。
混部逆ハー…まさかのギャグwry…
ごめんなさい!!全員出したくて…(言い訳)
またリベンジしたいと思います!!だって荒木荘大好きなんですもの!!!!(ドーン





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