ベストポジション(ソルジェラ三角関係)


「ソルベ、俺、お前のこと好きだよ。チームの他の奴とは別格だ」

「俺だってお前のこと好きだ。死ぬ時まで一緒に居たい」


なるほどデキているんじゃあないかと言う、メローネやホルマジオの勘は間違いではなかったらしい。
名前は目の前の光景に目を細め、そんな事をぼんやり考えていた。

「だけど。これだけは譲れねぇんだ」

「相手がジェラートだからって容赦はしねぇよ」

「「名前は譲らない!!」」


「巻き込まないでくれない?」

名前はがっしり捕まれた両腕を見てため息をついた。
せっかくの休日を、どうやらのんびり過ごすことは出来ないらしい。
事の発端は、ジェラートとソルベが仲良く出かけようとしていたところに、名前が出くわしたことにある。

『私も今日はお休みなの』

ただの報告のつもりでそう告げたのだが、どういうわけか“どちらが名前と出かけるか”という争いに発展したのだ。



「三人で行こうよ」

「「名前がそう言うなら」」

どうにかあっさり終結した意味の分からない戦争に、名前は今日一日を想像して小さく溜息をついた。

「本屋によっていい?」

「もちろんだよ」

ニコッと笑うジェラートに対して、ソルベは少し気重たげに「まぁ…」と頷いた。
本を読まないソルベと、読書家のジェラートの違いだろう。
普段の習慣が異なるのにいつも一緒に居られる彼らはやっぱり特殊に見える。


「何か小説でも買って、寝る前に読もうと思うの」

「それなら長編より短編集がいいんじゃあない?」

ササッと手ごろな本を取り出すジェラートの隣で、ソルベが「それ、前に読んでなかった?」と腕を組む。
よく見ているなぁ。

「そうそう、面白かったよ」

「ジェラートはジャンルは何が好きなの?」

「ファンタジーから自己啓発本まで何でも読むよ。インターネットのレビューを見て、気になるものは読むようにしてる」

これはなかなかの手だれだ。
道理で色んな事を知っていると思った。

「名前は?」

「うーん、たくさんは読まないかな。ファンタジーとか、軽く読めるもの。後は話題の本かな」

「名前はこの前映画になった奴読んでた」

ソルベの観察眼は侮れない。
カバーしていたはずなのに…。


「有名なベッタ甘な恋愛小説だな!」

「うわぁぁぁぁあんっ!!言わないでジェラート!!!!」


恥ずかしくて死ねる。
暗殺者がそんなベタ甘小説読んでるなんていい笑い種だ。
いっそ殺して欲しい。


「名前、静かに…注目の的になってるよ?」


私達が本屋を逃げるように飛び出したことは言うまでもない。
全力疾走で街を駆け抜け、三人は息を切らしながら公園に飛び込んだ。
木の葉を隠すなら森の中。隠れるなら人ごみの中という訳だ。


「読んだ本は売る主義なんだけど、昨日読み終わった本が丁度恋愛ものだったからかえったら名前にあげるよ」

「グラッツェ…ジェラート」

ハァ、と息をついて半ば倒れ込むようにベンチに腰掛ける。
夏の暑さは落ち着きはじめ、丁度心地の良い日差しが差していた。
時折吹く風が気持ちよく、汗ばんだ肌を冷やしてくれる。


「あれ…」


キョロキョロとあたりを見渡した名前は、「ソルベは?」と黒髪のとんがり頭を探す。
さっきまで一緒に走っていたはずなのに、一体どこに行ってしまったのだろう。
背の高い木々に囲まれた小道に点在するベンチは家族連れや恋人で埋まっているが、そのどこにもソルベの姿がない。


「ソルベなら、もうすぐ来ると思うよ?」

「俺がなんだって??」

「ソルベ!!!」

ヒョコッと後ろから覗き込み、影を二人に落としたソルベは名前にヒョイとカップを差し出す。
どうやら飲み物を買ってきてくれたらしい。
ジェラートにも飲み物を手渡し、ソルベは名前の隣に座った。
どうやら名前が認識していた以上に気が利くらしい。
全力疾走で走って渇いた喉に、甘いソーダ水が気持ちいい。


「ソルベ、ありがとう!!」

「いや、大した事ない」

いや、三人で駆け抜けている最中にそんなところにまで気を利かせられる人間が一体どれだけいるというのだ。

「ジェラートはいつもこんなにソルベに優しくしてもらってるの?」

「ん?…んー……そうだな、ソルベはいつも気が利くよ」

「羨ましいわ」
「名前にならいつでもしてやるよ?もちろん、それ以上のことも…」


おっと、ミス発言だったか…。
ピシリと凍りついたジェラートの空気に、名前は思わず目を閉じた。
やれやれ…やれやれだぜ。


「名前、俺だって優しいよ?名前みたいな天使、俺はずっと出会えるのを待ってたんだ」

いや、天使どころか暗殺者です。
前のめりになって迫り来るジェラートに、名前は笑顔を引きつらせて後ずさる。
しかし後ろにはソルベ。

「ジェラート、抜け駆けは良くない。俺だって名前との出会いは運命だと思ってる!!」

「「名前は譲らない!!」」


振り出しに戻る。
名前はハハハと渇いた笑みを浮かべ、一口ジュースを飲んでから「よし!」と立ち上がった。


「いい天気だから、ドルチェでも食べようか」

「「いいね、いい店知ってる!」」


ほら、こんなに息が合ってるのに。
立ち上がりながらそう言って、ムッと睨みあう二人の間にスルリと入り、名前は二人の腕に自分の腕を絡めた。


「三人で居るのが一番楽しいんだけど、それじゃあ駄目なの?」

「…名前がそう言うなら」
「仕方ない」

昼下がりの公園では腕を肩を組んで微笑みあってる恋人達が仲睦まじく楽しそうにしているけど、名前はニコニコ楽しげに笑い、(この形が一番だなぁ)と、暗闇の中に沈みこんだ生活の中に一筋の明かりを見るような心地を楽しんでいた。



***************
はい、俺得なつもりでこっそりアンケートに混ぜ込んだソルジェラ(三角関係)が意外にも上位でしたので、書かせていただきました。
「え?三角関係??」とご不満な方もいらっしゃるかと思います。
ゴメンナサイ!!!!!!!!!!!!!!!
これが私のボキャ貧脳の限界でした(震え声)
ドロドロした話は、好みではないので書けません(ゴメンナサイ
もっとこんなの!!などありましたら、アンケメッセージ・拍手などから意見を下されば努力します!!!!!
ぬっるい仕上がりですが、楽しかったです!!(やはり俺得)
このあと三人で「あーん」と分け合いながらドルチェを食べたんだと思います。
可愛いなぁホント。

こんなところまで閲覧いただき、ありがとうございました。
またお声がありましたらソルジェラの新作も書くかも知れませんww
ありがとうございました!!!!


(15/21)
[back book next]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -