そのままのキミ(いつ様リクエスト、5部メローネ)


突然だが、「運命」ってやつを信じるか?

そんな事ばかり言う奴がいるが、オレは信じる。
ただし、「恋」に限って。


押して押して押しまくってやっとオッケーをもらって付き合うようになった彼女の名前は、今まで見たどの女よりディ・モールト可愛い。

「あれは多分…天使だな」


「出たよ、メローネの天使発言」

ぼんやりしながらノロケを口にするメローネに、ギアッチョが心底うんざりした様子でしかめっ面になる。

「いや、今度こそ天使だ!」


「ギアッチョ、オレは1週間に賭けるぜ」

ホルマジオがそう言って、ギアッチョに金を渡す。

プロシュートは「期待を込めて1ヶ月」と言いながらホルマジオと同じように金を渡し、その金をポケットから取り出したしわくちゃの封筒にねじ込んだギアッチョは「3日だな」と追加で自分の分をねじ込んだ。

メローネはこの状況に説明なんか求めない。
何故なら、「いつものこと」だからだ。



メローネに恋人が出来る度に、何人かが集まって金を賭ける。
賭ける所を見たことがないのは、リゾットくらいのもんだ。


「オレは今度こそ『一生』に賭ける!!」

毎回そう言うメローネが全敗なのは、語るに落ちる。










「メローネ!」

「チャオ」

約束した時間に待ち合わせ場所に居る。
これはクリアだ。


「名前、今日もベリッシモ可愛いな」

サラッと褒めて頬にキス。
これもクリア。
キスのやり方を聞くなんて、彼女にはタブー。


「メローネったら、すぐそうゆう事を言うんだから」

ムッと唇を尖らせ、照れ隠しをする名前の腰を引き寄せて…。


メローネはプロシュートやホルマジオに教えてもらった通り、「女が喜ぶデートの手順」をなぞって名前をエスコートする。

今まで付き合っていた彼女達には、自分が思うように行動して殴られた。
さすがにメローネも懲りていたし、何より名前には嫌われたくなかった。

今まで付き合った人達が、名前と上手く付き合う為の前準備だったんじゃないかとすら思えていた。

名前に嫌われない為に、デートに窮屈さを感じても我慢をしていた。



「メローネ、今日はメローネの行きたい所に連れて行って」


だから、この言葉には参った。


オレが行きたい所?
イキたい所?

ベッドの上、名前の中…正直に言えるなら言うし。名前が足腰立たなくなるくらいドロドロに可愛がってあげるのに。

しかし、ここでそれを言ったらお終いだ。


「名前が行きたい所は?」

「うーん…もう買い物もしたし、映画も見た。
お腹はまだ減ってないし…」


メローネが思い付く「普通のデート」は、もう名前が言い尽くした。
こうなると本当にお手上げだ。



「と言うか…メローネ何か我慢してる?」


あーでもないこうでもないと精一杯頭の中の引き出しを探すメローネを、名前は覗き込む。
名前のクリクリの目がメローネを真っ直ぐ見上げ、彼の思考を止める。


「……我慢?」

してるよ。


「オレが?どうしてそんな事を?」

名前に嫌われたくないからだよ。



メローネの薄っぺらな嘘を見抜いてしまいそうな視線がその一挙一動を見つめて、名前は「そっか…」と寂しげにうつ向いてしまった。



「あ、じゃあカフェラテでも飲みに行かね?景色良い店知ってんだ「私…もうメローネと付き合えない」


笑顔でエスコートしようとするメローネの手を脱け出し、名前は困ったように笑う。
拒絶された手が空を掴んで、何が起きたか理解出来ずにメローネが固まる。


「無理して付き合わせちゃって…ごめんなさい」


ポタリと滴がアスファルトを濡らす。
振ったのは名前なのに、まるで振られた女の子の様なその言葉に違和感を感じた。




「付き合わせちゃってって……どうゆう意味?」


笑顔を作る余裕もなく、メローネは掠れる声で名前に問う。
押して押してやっと付き合う許可を得た。それは、メローネから付き合いを求めたと言うこと。


「私、メローネがスゴく変わった人って知ってるよ」


「頭を鈍器で殴られた様な衝撃」ってのは、恐らく今受けたような衝撃だ。
メローネは他人事のようにそんな事を思った。
言い方はやんわりとしているが、つまりはメローネが隠そうとしていた彼自身を名前はいつからか知っていたと言う事だ。


「だから、別れる?」


どこから伝わったのかは分からないが、同じ街で女の子を見つけていればあり得る事ではある。
小さく頷く名前に、メローネはうつ向く事しかできなかった。


「……分かった。変態でごめんね」


今まで何度も言われたし、別れ際には必ずそう罵られた。
だから、メローネ自身もそれを認めてるし、名前にだって永遠には隠せないと思ってた。
(あーぁ、失敗)
メローネは名前に背中を向けて歩き始めた。


とりあえず、プロシュートに服返して…賭もまた負けか。


「メローネ!!」



立ち去るのを呼び止める女なんて今まで居なかった(罵られて別れるんだから、当然と言えば当然だが…)メローネは、経験の無い事に目を丸くして振り返った。


「私が子どもみたいだからそれに合わせてくれたんでしょ?
私がもっと大人っぽかったら、もっと愛してくれた?」


名前はポロポロと大粒の涙を溢し、人目も憚らずしゃくりあげていた。
どう聞いても未練があると言わんばかりの名前に、メローネは弾かれた様に走り出した。

どこでどうなってそんなに食い違ったのか、考えるのを止めて名前を強く抱き締めた。


「そのままの名前がディ・モールト好きだよ。
子どもみたいとか、関係ない」


「だって…メローネと前に付き合ってたって人に言われたよ?
すぐ手を出してくるから気をつけろって…でも、メローネそんな気配ないし……」


そこで言葉を切って再び頬を濡らす名前の睫毛に、メローネは何度もキスをした。
溢れる涙を唇で拭って、メローネはもう自分を偽るのを止める。


「名前が良いって言うなら直ぐにでも抱きたいけど?」


挑発的にそう告げて、ペロリと耳を舐める。
うん、健康な味。

ビクリと体を強張らせ、名前はそろっとメローネを伺う。


「私で良いの?」

「勘違いしないでくれるか?
名前『が』良いんだ。
起きた瞬間から眠るまでずーっと、名前を可愛く鳴かせてあげたいくらい」


ウフフと笑うメローネに、名前は目を見開いて頬を染める。


「名前に嫌われないようにと思って我慢してたけど…名前は『本当のオレ』が好きみたいだし、もう良いよな?」


チュッチュとキスの雨を降らし、メローネは背中に回していた手をするすると下げて柔らかな膨らみに手を添える。


「おしっ!?…っメローネ!!」

「んー、ディ・モールトベネ!」


メローネはやわやわと名前の尻を揉んで、その感触を楽しむ。
がっちり腕を回された名前は動く事もままならず、メローネの胸を小さく押すがビクともしない。


「メローネっ、恥ずかしいよぉ」

「んー?…名前、良い匂いする」


名前の必死な抵抗もどこ吹く風で、メローネは名前の首にキスをしてつぅと舌を這わす。


「うひゃぁあっ!!」

「うーん、この反応…やっぱり堪らないな」



恥ずかしがる様子を心底楽しむメローネに、名前はただ真っ赤になって口をパクパクさせた。



「後悔してる?」


ひとしきり楽しげに笑ったメローネの笑顔が微かに曇る。

(不器用な人…)

赤面したままメローネをジッと見つめて、名前はその腕からスルリと抜け出した。


「まだしてないよ。
だからメローネ、後悔させないでよ?」



「先ずはカフェラテだ」と意気揚々と歩く名前に、メローネは笑顔で着いて行くのだった。






「名前、オレのミルクも「メローネ…本気でぶつよ?」











いつ様、リクエストありがとうございました!
こんな変態メローネで大丈夫だったでしょうか!?
少しでも楽しんで頂ければ幸いです\(^^)/
また当サイトのご利用をお待ちしております☆




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