「俺様の目の届く所に居ろ。でなければ殺す」
「えっ、そんな事でいいんですか、わかりました。今日からよろしくお願いしますです!」

そんなこんなでお屋敷に住まわせていただくことになりました。





お願いをした私が言うのもおかしいけど、こんな簡単に行っていいのでしょうか果たして。
まあ、向こうも了承してくれた事なのだし、帰れる方法が見つかるまでぐうたらしちゃおう!
こればっかりは、私の力じゃあどうにもならないんだから。
とりあえず、こう、思わぬ休暇をもらったものだと思えば……。

ちなみに。
あの後、三時にはおやつが欲しいですと言ったら、軽くオーケーしてくださった。
さっそく明日からねだってみようかしら。まずはカエルチョコレートから。








「ふあー……暇。暇でーす、暇、ちょうひま、超絶暇あああ」

だらーん。
お世話になってから早一日。
上質なソファーにねっころがって、カエルチョコレートをむさぼる。
なんていうか、もうホント典型的なニートである。認めたくはないけど、事実働いてないし学校にも通ってない故に、「お前ニート!プギャー」なんて指さされ馬鹿にされても、文句が言えない。まずい。これはまずい。はやく何かしないと!でも何も思いつかない。

「ちょっとルシウスさん、なんか一発芸やって下さい」
「意味が分かりませんし、お行儀が悪いですfist name様」

ソファーの 上でだらだらしている私をすぱっと一蹴なさる。
貴族の方々は冗談が分からないみたいです。くそう、ノリ悪いね。
仕方がないので、もう一人の死喰い人さんにやってもら……あれ、そういえばこの人の名前なんでしょう。
首をひねって記憶を手繰り寄せてみるけれど、まったく思い出せないので、ちょっとストレートに聞いてみる。

「あの、すみませんあなた名前何でしたでしょう?」
「…………」

ぎろりと睨まれる。それ位覚えとけよこの馬鹿が、って感じの顔でした。あれ、過去に自己紹介されたのでしょうか……お、覚えが無い。
射殺さんばかりの視線に、とりあえず、わざとにっこりと笑みを返してみる。
するとさっきよりも、視線が鋭くなる。まるで鋭利な刃物みたいだ。少しだけ面白い。

「チッ」

しばしそのやりとりを続けていたけれど、全く動じない私に何かを諦めたのか(それとも飽きられたのか……多分両者)、心底イヤそうに、「ロドルファス・レストレンジ」とつぶやいた。……あれれ。

「ということは……」

この人が後々の、ベラトリックスの、旦那さんなのですね……!
思わず、ロドルファスさんを凝視する。……この人が……ふむ。

「私の顔に何かついているのか? 小娘」

……わあい。至極機嫌悪そうです。ていうか、とっても嫌われてるみたい。仕方ないよね、私マグルだし。
死喰い人さん達の言葉を借りるなら、けがれたち、ってやつ。
あ、そういえば私に魔力ってあるのかな。

「ルシウスさん、私から魔力って感じますか?」
「人並みには感じ取れますが……」

む、人並みですか。

「それじゃ、魔法の勉強頑張れば人並み以上になれますかねえ?」

人並みという言葉に額に皺をきざみそうになったけれど、我慢して笑顔で問いかけてみる。人並みとかいう言葉はあんまり好きになれない。
好きこそものの上手なれ、という言葉もあるのだし、せっかく物事に取り組むのだからやっぱりその辺の人よりは優れていたい。

にしても、マグルとして育った私でも一応魔力はあるみたいだ。
魔法を習うにはやっぱり、学校に行ったほうが手っ取り早いのだろうけど、卿とのお約束があるから、行けないかなあ。

でも、やっぱり学校に通うとしたら、ホグワーツかな。
ダームストラング専門学校も、ボーバトン魔法アカデミーもいいけれど、ダームストラングにはマグルな私は入れない。非常に残念である。カリキュラムには少し興味があるのに。
ボーバトンはたしか、ナルシストな人が多いとか。そういえば五巻で女生徒がダンブルドア先生のこと嘲笑していたっけ。みんな大好きダンブルドア先生になんたる非礼、なのです。

「勉学に励む以前に、貴女は杖を持っていないでしょう」
「……あ。そういえば、そうでした……」

卿にねだって、買っていただけないでしょうか。


   


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