ルカグミ
「だって本能がそういっているの」
本能のままに行動する彼女は私の憧れだった。
そして理性に縛り付けられている私のことを綺麗だと私に言い聞かせる彼女が一番綺麗だった。
彼女の指は私の頬を撫でるためだけに作られたかと疑うほど、私の頬にしっくりきていた。
そしてたぶん桃色というのは彼女の為だけにある色だ。
「本能には抗えないもの」
本能が7、理性が3。
彼女を形成するものは簡単すぎる。
修正を入れるとしたら私を喰らう時の彼女は本能9、理性が1。
「私は本能であなたを抱き、本能で歌い、本能で眠るわ」
素晴らしく自由だもの。
好きなときに好きなことして嫌なものは嫌。
「でもね、こうするとなんだか嫌いなモノが減ったのよ」
我慢をしなくていいから。
嫌いなモノが減るということは、とても幸せなのだろう。「グミちゃん?」
私が何も言わなくなったことが気になってか私を覗きこんできた。
きす、されそう。
「ルカさん、幸せですか?」
きすされそうな近さで、吐息やらなんやらが伝わって心臓が壊れそうだ。
「ええ、当たり前じゃない。食べるものも住むこともあって、生きてるだけで幸せよ。それに……」
「グミちゃんもいるしね」
結局最後はそこなのか。唇を掠めた柔らかいな感触は、やはり彼女らしいそれだった。
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