ろこさん宅の非日常的日常の三次創作です。
カイ→←リン
メグ→リン←ルキ
いわゆる泥沼。
「……オレは、リンが好きなんだ。ああ、恋愛的意味で。なあルキもだろ?ルキもリンが好きなんだろ?」
思えばメグのこの言葉が穏やかで平和な日常を、黒々しい欲にまみれに塗り替えてしまったのだ。
なら、メグを呪うべきなのだろうか。
僕はあの時の真剣な目を呪うべきなのだろうか。
違うか。結局壊れてたんだよ。僕がリンを好きになった時点で。
じゃあ、僕は僕を呪うべきなのだろうか。
***
遠くから傍観していて思う。
穏やかな日常をこよなく愛す俺はなるべく関わりたくない。
ああ、でも俺が彼女を好きになった時点で、もう俺は傍観者でもなんでもないのか。苦笑しかわいてこない。
愛してるんだよ。あの子を。
穏やかで平和な日常を壊した原因要素に結局俺も混じるのか。
困ったなぁ。俺は平和な日常を愛する、善良なお兄さんなのに。
***
ここ何日、リンと口を聞いていない。忘れられない。
何度も何度も忘れようとするたびに思い浮かぶ、あのはじめて見た表情。
でっかい目を見開いて、オレが誰だかわからなさそうな顔をして。
知らない外人にでも話しかけられたときみたいに、戸惑った顔。
ちなみにルキとも口を聞いてない。
あれ、オレ誰かと会話したのはいつだったけ?
もしかして、歌えないガラクタは喋れもしないゴミに退化したのか。
「なんだ、結局オレ、ただのゴミじゃん」
自嘲したら、涙腺を緩くなり嗚咽が溢れた。
人がなんと言おうと、自分が自分のことをゴミだといったら、結果としてオレはゴミなのだ
***
「メグもルキくんもカイトくんも」
私はどれだけ人を破滅させればいいのかわからない。
カイトくんから歌を取り上げた。
本人は、うたいたくないから、っていってるけど違うよ。
カイトくんは歌ってなきゃいけないから。
本人の意思なんて関係ない。
ルキくんは……ルカさんに会いにいった。
何をしにいったかなんて知らない。
知らないほうが幸せなことはある、と自分で自分を止めた。
知らないほうがルキくんに何かあったとき、私は真っ白いままでいられるじゃない。
そう、何も知らなかったから仕方ないね、って自分にそう言えるものね。
結局私は、昔から逃げることしかできない愚図なのか。
「それでこそ、私ね。」
失笑は闇に溶け落ちた。
***
俺は部外者だった。
まるでなにかの筋書きがあるように、ゆっくりとそして確実に破滅に向かって進むみんなの中で、俺はただひとり愛するべき非日常的日常に立っていた。
メグもリンもルキもカイトも、みんなみんな堕ちていく中で独りで幸せなそこからみんなが堕ちていく姿をなにもできなくて見ている。
幸せなそこから、堕ちていくみんなを見て絶叫する。
立っている場所は確かに幸せなのに、何故だろう俺は絶望の淵にいるんだよ。
見ているだけの本当に本当の傍観者は俺だった。
でも俺は傍観者としての才能がないらしく、黙ってそれを鑑賞することも救世主のごとく右手を伸ばしてみんなの腕を掴むこともできなかった。
無力感とひとりだけ仲間外れな孤独感。
みんなが日常と逸脱した世界に足を突っ込んでいるなか、安定した幸せな立ち位置に俺は無力感に絶叫しながら幸せなその場所で絶望していた。
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