■ はじめまして、また会いましたね

「……!!姜麗ではないか」

私の目の前に現れた人物。

それは肩ほどの髪を下ろした、美形な男だった。

前髪は前で分けており、その流れるような髪はキューティクルが見えるほど。

たしか、この人は私の取引先の秦商事の営業マンだ。

名前は、なんといっただろうか。

『えっと、秦商事の…』

実際に私は面識などない。

ただ、同僚の陽ちゃんがかっこいい人がいる!と騒いでいたのでなんとなく記憶に残っていた程度だ。

「ああ、エイ政という」

ご丁寧に名刺を渡された。

私も慌てて名刺入れから名刺を取り出した。

その名前を見て、エイ政さんはふっと微笑んだ。

少し上がった口角がいっそう美形を引き立たせる。

少し見惚れてしまった。


「お前は、戻っていないのだな」

『戻る?外回り的な何かですか?』

私は営業ではなく事務なので基本オフィス内ですけど、と続けるとエイ政さんは困ったように笑った。

「…そういう意味ではない」

そういうとエイ政さんは私の頭にぽんと頭を置いた。

私は顔に熱が集まるのがわかった。

『なっ、なにを』

「いつか思い出した時でいい、また俺に会いに来てくれ」

そして走り書きしたSNSのIDが書いてあるメモを渡される。

『は、はい……』

エイ政さんの表情にどきどきとしながら私はそのメモを大事に手帳に挟んだ。

エイ政さんは優しそうな笑みを浮かべると、それではなといい去っていった。

私はその後ろ姿を眺めながら、手帳をぎゅっと握りしめた。




「遅かったじゃねーか、交渉失敗したのかよ」

「姜麗がいたのだ」

「まじか!俺も会いたいんだけど!」

「信、お前はあいつの記憶にお構い無く話しかけるだろう」

「……記憶が戻ったら紹介しろよな」

「ああ」





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