■ 会えなくても、待っています

今日は輪虎様と久しぶりに会える。

廉頗将軍の四天王の一人である輪虎様は普段は戦場にいるが、久々に帰ってきたのだ。

私は喜んで輪虎様を迎えた。

『おかえりなさいませ!』

自然とこぼれる満面の笑み。

それほどまでに会うのは久々だったのだ。

「姜麗、ただいま」

輪虎様は私の方に近寄ると、私の額に軽く口づける。

少し顔が火照るのを感じながらも、私はその手をとって屋敷に迎え入れた。


『今回は随分と長い遠征でしたね』

私は茶を淹れながら輪虎様に話す。

「そうだね。寂しかった?」

無邪気に尋ねてくる輪虎様。

私は正直に頷いた。

『寂しかったです』

輪虎様は口の端を上げて笑った。

「そっか、素直に嬉しいよ」

そして私の手を引き、口づける。

いつもより積極的な輪虎様に驚く。

こんな方だったかしら。

少し疑問に思いながらも私は笑った。

「やっぱり姜麗は笑っている顔が素敵だね」

そして私の手のひらに何かを置く。

手を見ると、そこには綺麗な飾り玉が付いた漆塗りの簪。

私は顔が綻ぶ。

『輪虎様、これは』

「僕からの贈り物だよ。帰りを待っていてくれてありがとう、姜麗」

そして私の纏めあげている髪の毛にその簪を添えた。

「うん、思った通り、とても綺麗だ」

そう言って私を見て笑う輪虎様。

幸せな気持ちで胸が膨らむ。

『輪虎様、本当に感謝します!大切にしますね!』

しゃら…と飾り玉が揺れる音が私の耳に聞こえる。

シンプルながらも女性らしさ溢れた装飾の施してあるその簪。

『輪虎様、愛しております』

私は輪虎様を見つめてそういった。

輪虎様はそんな私の表情をみて笑った。

「僕もだよ」

そして続ける。

「戦場に出ることも多いと思う。だけど、必ず帰ってくるから、ずっと待っていて欲しい」

輪虎様は私の手を握る。

その手を握り返すように、私は答えた。

『もちろんです、いつまでもお待ちしております!』



back
(表紙へ戻ります)

※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -