■ 取り替えっこ

『おっはよー!項翼、今日もバカそうだね』

私は戦のために出陣の準備をし終え、項翼の元に向かった。

その近くには白麗もいる。

「あぁ!?バカはいらねーだろ」

「項翼、静かにしろ。朝からお前の大声なんて聞きたくない」

二人はこちらに向かって歩いてくる。

千人将が二人並ぶとなかなか壮観だ。

「あ!?大声出させたのは姜麗だろ!怒るなら姜麗にだな」

「姜麗も姜麗だ。いちいちこいつに突っかかるなよ面倒くさい」

なにをー!やるか。といがみ始める二人。

そのときだった。

どっと何かが項翼の肩に当たり、項翼は白麗と頭をぶつける。

「あ、千人将!すんませんー!」

確かあれは、五百人将の一人だった気がする。

ぶつかってきた男はぺこりと笑って頭を下げると走ってどこかへ行ってしまった。

『あらら。白麗、項翼、大丈夫?』

「ああ、大丈夫だ」

「いってぇな!誰だよぶつかってきたヤツ……ええ!??」

白麗はいつもとは違ってがさつな言葉を話す。

そして項翼を見て驚いている。

「なんで俺がいるんだ!?」

「……なんで俺がそんな言葉を?」

項翼もいつもとは違って落ち着いて冷静な声で白麗を見ている。

「姜麗っ、俺、今誰に見える!??」

『誰って、白麗その喋り方どうしたの?』

そう、目の前にいるのは白麗…のはずだ。

「ならば俺は項翼に見えるのだろう」

項翼は当たり前のことを話す。

「俺が白麗で白麗が俺!?どうなってんだよ!」

「こちらが聞きたい。この姿では弓も満足に打てない」

『え、まさか……』

白麗がまるで項翼のように話している。

そして項翼は白麗のような丁寧な喋り。

『入れ替わっちゃったの!??』

「そうみたいだな。信じられないが」

「はぁ!?そんなことありえるかよ!!」

項翼…ではなく白麗は項翼の顔でため息をついた。

白麗の姿をした項翼は怒鳴っている。

まさか、こんなことがありえるのだろうか。

「姜麗、すまないがこの入れ替わりの原因が分かるまで、隠し通す手助けをして欲しい」

項翼の顔をした白麗が神妙な顔でいう。

いつもとは違う項翼の顔に不覚にもどきっとした。

「ああ、面倒だが千人将である以上隠し遠さねぇとやってらんねぇ」

白麗の顔をした項翼は呟く。

白麗の評価は残念ながら下がる一方だ。

こんなに綺麗な顔をしているのに、出る言葉は項翼のがさつな言葉ばかり。

『……えっと、私に出来ることならば』

「ああ、姜麗、頼りにしている」

「悪ぃが、頼むぜ!」

私は二人を見比べて叫んだ。

『早く元に戻ってーーー!!!』





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