■ お料理教室

私は姜麗。

飛信隊の軍人だ。

女であることもあり、前線というよりは後方支援が多かった私だが、この度料理番を任されてしまった。

ちなみに私は料理を一度も作ったことがない。

そう、一度も。

『うう……信に料理作ったことないです、とは言えないしなあ…』

そう思いながら食材の山を前に唸っていると、藁がやってきた。

藁はひょっこりと頭を出す。

「姜麗、なにやってるんだ?お前料理当番だろ」

木簡を片手にこちらを不思議そうに眺めるこの子は河了貂。

飛信隊の軍師だ。

可愛い。ひたすらに可愛い。

『貂、笑わないで聞いてくれる……?』



「なんだそれ!!お前普通ありえねーだろ!」

そう、女は料理をするもの。

それがこの時代の考え。

でもやったことないのはやったことないんだもん!

「よし、俺が料理を教えてやるよ!」

『ほんと!ありがとう貂!』

そして貂と私のお料理教室が始まったのだった。


「芋は皮をむくときに芽をとる。毒があるんだ」

『うん』

「葉菜は火が通ると縮むから多少大きく切っても問題は無い」

『うん』

「ちがう!煮る時は火が通りにくい芋や人参、大根などの根菜からだ」

『うん』

……貂すごいや。

私の知らないことをすいすいと言ってやってのける。

料理って手間がかかるんだね…。


とりあえず形だけは料理が完成した。

貂は味見をする。

「うん、俺が味付けを手伝ったからまあまあの味だ」

私も一口。

『お、美味しい』

「だろ?」

と笑う貂。

私も笑った。

こんな美味しい料理、作れたんだ。

『貂、ありがとう!私の先生だね!』

満面の笑みで感謝を述べる私を見て、貂は照れくさそうだ。

「料理が作れなくて困るのは俺達だからな、当然だ」

『私、頑張るから!これからも飛信隊を料理面から支えてみるよ』

「なら俺は軍略面から支える!一緒に頑張ろうな!」


そう言って私たちは顔を見合わせてもう一度笑った。



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