■ 髪の話

『ねえ李牧』

「ええ」

李牧はずっと盤をみている。

他の国と国とが戦をしている時、こうするのが李牧だ。

私は構ってもらえず、頬を膨らます。

ふと普段から思っていたことを呟く。

『李牧の髪なんだけどさー、変だよね』

「ええ……えっ!?」

李牧は盤から目を離す。

上の空だった李牧が私の方を見る。

「変、ですか」

『うん、変』

李牧は自分の髪束に触れる。

「確かに直毛ではないですけど、そんなに変と言われるほどでは」

『自分で変って自覚してなかったんだ』

李牧は黙り込む。

「……あなたの髪は綺麗ですね」

『話を変えないで』

李牧はまた黙り込む。

『針金でも入ってるの?』

「入ってるはずないでしょう」

『じゃあ蝋で固めてたりする?』

「そんなはずないでしょう」

『じゃあつけ毛?』

「さすがに怒りますよ」

『ごめんって』

無表情の李牧に少しビビりながら私は寝転がった。

『……李牧との子ができたら、きっとそんな髪の子が生まれるんだろうなー。私は好きだけど』

私は小声で呟く。

「なにか言いましたか?」

『なーんにも!』

私は笑う。

李牧に聞かれていたら恥ずかしすぎてどうしようかと思うほどの言葉だ。

「……私もあなたとの子、いずれは欲しいと思っていますけどね」

『聞こえてんじゃん!!』

「当たり前です。二人しかいないのですよ」

そう言って笑う李牧。

私は顔を少し赤らめながらも、つられて笑った。



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