4.あまり褒められた方法じゃないね
「えっ、クラスの女子をマネージャーにしたい?」
そう言って驚いたのはチームの甲斐谷陸。
ボクの後輩だ。
「なんでまた?」
「その子とは今一緒に学級委員をやっているんだけどね、とても仕事が出来るんだ」
陸は黙って話を聞いている。
「気配りもできる、なにより少し心配でね」
頭の中には先日の男子との一件が浮かんでいた。
陸は少し笑う。
「キッドさんらしくないっすね」
「そう思うよ」
陸は続ける。
「好きなら好きって言えばいいじゃないですか。好きって言わずにマネージャーにして近くに置いておくなんて、その子が可哀相だと思わないんですか?」
陸の言葉を聞いて、自嘲気味に笑う。
その通りだ。
「ああ、分かってるよ」
そして続けた。
(あまり褒められた方法じゃないね)
分かってるじゃないですか、と陸。
全く、かなわないな。
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