3.彼には申し訳ないことをしたかな
 

キッドを意識し始めてから私の視線はずっと彼を追っている。

学級委員になってからもずっと。


ある日私が下校のために靴を履き替えていると、一人の男子が近寄ってきた。

見たことがある。

隣のクラスのバドミントン部の男子だっけ。

話したことは無かった。

「あの、今いいですか」

その男子についていくと、告白をされた。

初めてのことに驚いていると手を握られる。

お願いします!と懇願してくる男子が少し怖くなり、私は手を振り払って逃げる。

追いかけてくる男子。

曲がり角を曲がると一人の人物とぶつかる。

倒れる寸前で抱きとめられた。

「どうしたんだい」

「キッド、君……!」

肩で息をする私を驚いて見つめるキッド君。

男子が走ってくる。

「お前は誰だ!俺が今この子と話してたんだ!」

怒鳴り声にびくっとする私。

キッドは勘づいたようで、その男子に向かっていった。

「ボクの彼女に何か用かな」

えっ、と驚く私。

男子も驚く。

「危害を加えるようならボクも黙ってはいないよ」

そう言って軽く微笑むキッド。

その顔を見て男子は逃げ出した。

キッドは私を離す。

「もう大丈夫だよ」

「あ、ありがとう!あの」

さっきの彼女って……そう聞こうとするが、キッドの真剣な表情に言葉は途切れた。


(彼には申し訳ないことをしたかな)



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