2.非常に珍しいタイプだね
キッド君と居残りで日誌を書く。
最初こそドキドキしたものの、やっと慣れてきたのだった。
「キッド君は好きな人とかいないの?」
勇気を振り絞って質問をした。
キッドは日誌を書く手を止める。
「ボクは…好きな人っていうのか分からないけど、部活の皆は好きだよ」
「そっか」
そういうことじゃないよ!と心で訴えるも、キッド君はこういう質問はするりとかわすのだと知っていた。
残念だなーと思いつつ日誌を見ていてふと目を上げると、キッド君が私の目を見つめてきた。
「キミは?」
「えっ」
「好きな人だよ」
心臓の音が相手に聞こえないだろうか。
私は答えた。
「私は、好きな人は、いないよ」
私のバカー!
ここはあなたが好き!っていうところでしょ!
「もし、キッド君が好きって言ったらどうする?」
変な上級テクニック発揮しちゃった……。
可愛い子が言えばきゅんとするのに!
少し驚くがすぐに笑顔になる。
やっぱり冗談と取られちゃったか…。
「もし、キミがボクを好きだというならキミは」
そう言って、日誌を閉じるキッド。
(非常に珍しいタイプだね)
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