5.俺以外見ないって誓ってくれる?
 


大和君って束縛するタイプだよね。


そう気づいたのはつい最近のこと。


アメリカで暮らしていた大和君。

私はそのときのことをあまりよく知らないんだけど、今の糧になっていることくらい分かる。


なんだか、幼いときになにも苦労していなかった私とは正反対な気がして…。


苦労していたからこそ、自分の手に入れたいものは必ず手に入れる性分なのだろうか。


それに選ばれた私は幸せ者、そう考えてもいいのだろうか。


「眉間にしわがよってるよ」


でこを人差し指でつつかれ、思考が中断させられる。


『大和…君』


思ったよりか細い声が出て、自分でも驚いてしまう。
私をみつめる大和君はもっと驚いていたようだった。


「どうした?」


私の頭を撫でる大きな手。

いつもよりも愛おしく感じてきて。


私は大和君に寄りかかるようにして答えた。


『大和君、私を好きになってくれてありがとう。私も大和くんのこと大好きだよ』


撫でる手が止まる。

顔を見上げるといつもは見られないような真っ赤な顔をした大和君。


それにつられて私も顔を赤くする。


「まだ早いけどさ」


私は黙って次の言葉を待った。


「結婚しよう」

私は吹き出した。

『本当に早いね』


笑い事じゃないさとたしなめられる。


「それまで…」


(俺以外見ないって誓ってくれる?)


そんなの答えは決まっている。


『もちろん』


私と大和君は二人で顔を見合わせて笑った。



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