3.そういう服、止めて欲しいんだけど
 

帝黒がクリスマスボウルに進むことが決まり、祝勝会が開かれる。

「今日はパーティーですね!」

花梨は私に話しかけてくる。

私と花梨はいつもと同じ制服姿。

別に着飾る必要もないし、これはまだ通過点。
ここからが本当の戦いなんだから。

私達が会場のホテルにつくと、どこからともなくホテルのスタッフが現れる。

私と花梨はなすがままにスタッフに連れて行かれる。


ステージ裏の試着室のような場所に通されると、そこには立派なドレスがたくさんおいてある。

「こ、これは…」

「まさか」

着せ替え人形のように着替えをさせられる私達。

20分後、解放された私達は制服姿ではなくドレス姿だった。

「花梨、すごく似合ってる!」

花梨は髪の色にあった落ち着いた水色が基調のドレス。

「そんな、そっちこそ似合ってはりますよ」

私は薄桃色のドレスで花弁のように裾が広がっている。

「これ、結構胸元が…」

ハンドバッグで隠しながら会場に向かう。


皆はすでに揃っていた。

スーツ姿でビシッと決めている。

その中でも一段と目立つのが大和君。

背が高く、スマートな体型にはスーツがよく似合う。 

私はノンアルコールシャンパンを手にしている大和君に近づいた。


私に気づいた大和君は少し眉を潜めて近づいてきた。

「おお似合うとるやないか!」

同様に私に気づいたヘラクレス先輩から引き離すように私の腕を掴む大和君。

「ちょっと!痛いって!!」


人気のない廊下に出て、私を壁に寄せる大和君。

「何、誘ってるの?」

強引に唇を押し付ける。

私は咄嗟に大和君を押しのけた。


「な、なに…するの」


大和君は悲しそうな顔をして私を抱き寄せた。

耳元に口を寄せて囁く。


(そういう服、止めて欲しいんだけど)



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