2.いいけど、俺も一緒に行くから
「今週末、出かけようか」
私に話しかけてくる大和君。
大和君の部活が終わると、いつも二人で寮の食堂へ行くのだ。
大和君はにこりと笑いながら今日の晩御飯をトレーに載せてくる。
「今週末?先週も出かけたじゃない」
ハンバーグを箸でとりながら大和君に言った。
先週は大和君のすすめる映画に行ったのだ。
「せっかく恋人同士になったんだ。いつもいつも一緒にいたいだろう?」
「う、うん」
目を細めて笑いかけてくる大和君を恐ろしく感じながらハンバーグを口へ運ぶ。
「あっ、ごめん!今週は花梨と出かける約束したんだった!」
「…へえ」
「花梨がカラオケに行ったことないから、一緒に行こうかなと思って!」
大和君は腕を組む。
「男じゃないなら許すよ」
思ったより素直な大和君に驚きながらも私は続けた。
「ほ、本当!?じゃあ今週末は悪いけど…」
大和君は私の言葉を制す。
「俺は花梨と行くのは許すとは言ったよ?」
「う、うん」
「でも一人で行くのを許してはいない」
私は言葉をなくす。
大和君は続けた。
(いいけど、俺も一緒に行くから)
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