1.恋人なんだから俺を優先するよね?
「やあおはよう!」
爽やかな笑顔で近寄って来たのは大和君。
先日告白されて、彼氏になった。
私も大和君のことが好きだったから即了承した。
「今日はキミの知っているとおり部活が早く終わるんだ。一緒に帰るよね?」
私は目の前で手を合わせて謝った。
「ごめん!鷹くんと本のことについて話したいことがあるの」
私は大和君にそう言った。
大和君は表情を変える。
「鷹との約束がそんなに大事なのかい」
口の端は上にあがっているが目が笑っていない。
「そういうことじゃないんだけど…」
私は目をそらした。
鷹くんとは入学以来の仲ではあるが、大和君と知り合う前からよく本のことを話していたのだ。
大和君は口ごもる私をなおも問い詰める。
「キミは俺が好きじゃないのか」
「す、好きだよ!!」
「ならさ…」
大和君は私の耳元で囁いた。
(恋人なんだから俺を優先するよね?)
next
back
top