2nd down
駅に向かう途中、騒がしい団体とすれ違う。

歳は清香とそう変わらない。

体格的にアメフトの選手なのだろうか。


「もうすぐ都立栄光グラウンドだ!」

モデルガンだろうか、ピストルを打ち上げながら叫ぶ一人。

清香は自分の予想が当たっていたと確信する。


アメフト選手と分かったのは良いのだが、ここのグラウンドは道が入り組んでいて、初見には分かりづらいのだ。


案の定、先ほどの騒がしい人は迷った!と叫びながらピストルを打ち続けている。

清香は苦笑いをした。

そしてその人物に近づき、話しかけた。

『良かったら案内しましょうか』

その人物は清香の言葉を了承し、お礼を言う。

「お前たち!この子が案内してくれるそうだ!」

おおお!と歓声をあげる他のメンバー。

そのうちの一人が話しかけてきた。

「すまないね、うちの監督のせいで」

清香ははっとした。


そうだ、なぜ気づかなかったのだろう。

明日の対戦相手ということは、この団体は西部ワイルドガンマンズに決まっているではないか。

つまり、私の目の前にいるのは…


『早撃ちキッド…』

そう呼ばれた青年は目つきを鋭くさせた。

「キミは?」

『ごめんなさい、私は王城のマネージャーです』

キッドは別に怒ってないさと言わんばかりに肩をすくめる。

「ま、そうだろうね。偵察かい?」

『いいえ、下見ですよ。あなたたちと会ったのも偶然です』

何ぃ!?王城だと!!とピストルを打ちまくる監督から引き離すようにキッドは清香に先を急ぐよう促した。

「別に敬語を使わなくてもいいよ、下見に来るのは二年が妥当だ。キミもそうだろう?」

『うん、そうだよ』

すぐに言葉を崩す清香。

「明日の試合はどうなるかねぇ。まあ調子は悪くて普通。良すぎるとロクなことがないからね」

『悲観主義者ってわけじゃないよね?』

清香はついついキッドに尋ねた。

「まあね。ただ物事を現実的に判断しているだけさ」

清香は横にいる人物を眺める。

今まではデータ上でしかその姿を見ることはできなかったキッドが自分の目の前にいる。

それはとても不思議なことのように感じた。



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bkm



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