1st down
5月7日土曜日の昼間、清香は庄司と共に都立栄光グラウンドの下見に来ていた。

明日はいよいよ決勝戦。

この数週間の集大成が明日の試合だ。


「思ったより綺麗だな」

『そうですね。芝もちゃんと生え揃ってますし』

清香はしゃがみこみ、足元の芝を撫でる。

この様子ならグラウンドによる悪影響はなさそうだ。

そう判断した清香と庄司。

「どうする?今日は帰ってすぐに練習を終わらせるつもりだが」

『もう少し残ります。私は選手じゃないですけど、ここだとイメトレがしやすいので』

庄司は清香の言葉に頷く。

「ならば先に帰るからな。気を付けろよ。明日は10時に現地集合だ」

分かりました!と少し離れた庄司に向かって叫ぶ清香。

庄司はそれに答えるように、片方の手をひらひらと振る。



『さてと…』

清香はあたりを見渡した。

微かに明日の設営の準備をしているスタッフがいるだけで、グラウンド周辺には特に誰もいない。


清香は本番予想されるであろうプレーを思い起こしながらグラウンドを見つめる。


西部の攻撃はすごいものがあるが、ラインは特に強くはない。

その理由は早撃ちキッドのショットガン戦法のせいだ。

キッドが素早く投げるおかげでライン壁が早く壊されたとしても関係がない。

投げる前にライン壁を崩すよりも、回り込んでパスを止めるしか手はない。


『やっぱりブリッツが有効なのかな』

何秒で投げきれるかは見てみないと分からない。

一般に速いと言われる投球速度は0.5秒。

しかし蛭魔が言うくらいだ。
もっと速いに決まっている。


清香はくしゃりと髪の毛をかきあげる。

『少しでも勝率を上げるためにまだできることがあるよね』

そう呟く清香。

監督の車で来たので、帰りは電車。

最寄り駅に向かってゆっくりと歩き始めたのだった。


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