その日、泥門では葉柱ルイと練習試合の約束をしていた。
交渉とその後の練習が終わり、セナとモン太は後片付けをしていた。
「なあセナ、今日河川敷で進さんと会ったじゃねーか」
「うん、どうしたの」
片付けが終わり、手についた砂埃をはたき落とすセナ。
「あの後ろにいた自転車に乗った女の人見たことあっか?」
「うーん…あるような気も、ないような気も…」
セナは王城との試合を思い出す。
見たような気はするのだ。
しかしどこで会ったか、などは全く思い出せなかった。
そんな二人に近づいていく一つの影。
「この糞チビ!!」
「ひいぃぃいぃ!?」
マシンガンをバラララと足下に打ちつけるのは泥門のQBである蛭魔妖一。
片手には携帯を持っている。
「てめぇら今日買い出しのときに進に会ったらしいじゃねーか」
たった今その話をしていた二人は顔を見合わせる。
「な、なんで知ってるんですか」
セナはおそるおそる尋ねた。
「てめぇらも見ただろうがよ。進と一緒にいたヤツからだ」
モン太は目を輝かせる。
「知ってるんすか!?」
「……」
先日の王城との試合のハーフタイムに清香と話した内容を思い出す蛭魔。
人にバラさない、そう約束をしてしまっていた。
「あー…王城のマネージャーだ」
「マネージャーって他にいませんでしたか?」
セナはベンチにいたポニーテールの女子、つまり小春を思い出す。
「別のだ」
蛭魔はそれだけいうと踵を返し、去っていった。
「蛭魔さん、自分から進さんのこと言っといて微妙な感じで話ぶったぎっていったな」
「そうだね…」
モン太の言うことはもっともだと感じていたセナは、いつもと様子の違う蛭魔を見て不思議に思ったのだった。
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