河川敷横を清十郎の後ろについて走る清香。
ここの近くにはキミドリスポーツというスポーツ用品店があったはずだ、と記憶を思い起こす。
案の定左手に見えてきた。
ふと前を見ると、見覚えのある少し背が低い人物が二人走ってくる。
清香は目を見開いた。
体格に見覚えがある。
あのときの、泥門のアイシールド21だ。
清香と清十郎が二人とすれ違う直前、アイシールド21が清十郎と危うくぶつかりそうになる。
アイシールド21の動きが不自然になる。
清十郎のことに気づいたのだろうか。
清香は急に止まった清十郎を見て速度を落とした。
「アイシールド21か」
清十郎はチラリとアイシールド21のほうを見て、呟いた。
ドキリとする本人。
「は、はい…」
もう一人はキミドリスポーツへと向かった。
あの選手には見覚えがない。
新加入かな。
清香はハンドルに両腕をのせ、その少年を眺めた。
清香たちが来た方向から凄い音とともにバイクがやってくる。
『ノーヘルで二ケツって…』
清香は苦笑いをした。
しかし清香はあることに気づく。
『もしかして』
キミドリスポーツ前の少年の手には封筒に入ったお金。
その少年の手から封筒がひったくられる。
『なにやってんの少年!!』
清香は叫ぶと、急いで方向転換しキミドリスポーツ前へと自転車を進ませる。
慌てる少年をなだめる作業からだ。
清十郎とアイシールド21は直接追いかけ始めた。
『少年!後ろ乗って!』
「だ、誰っすか!?」
『そんなことより、お金!!』
二ケツは駄目なんだけど背に腹は代えられない!と清香は少年が後ろに乗るや否や、ペダルをこぎ始める。
「おお落ちるっ!!」
『しっかり捕まって!』
多少のタイムロスはあったが、どうにか黒美嵯川にかかる橋のところまでたどり着く。
橋の真ん中から火が上がり、清香と少年は急いだ。
少年は自転車から飛び降りる。
そして爆風で舞い散るお札を一枚も逃さずキャッチした。
しばらくして警察が来た。
清十郎は少し事情聴取があったらしく、清香はアイシールド21と少年の近くで待機していた。
すると先ほどの少年が話しかけてくる。
「さっきの、あざっした!!」
『気にしないで。それにしても少年のキャッチング、凄かったよ!レシーバーなの?』
清十郎が戻ってくる。
「先ほどの様子を見る限り間違いないな」
清香の話が聞こえていたようで、付け加える。
「あ…ありがとうございました!」
アイシールド21はぺこりとお辞儀をして話しかけてくる。
それに続いてレシーバーの少年も。
「秋までに全てを整えてこい。王城も秋には倍強くなる」
清十郎は改めて二人に向き直る。
「決勝で待つ」
そういってランニングを再開する清十郎。
清香は二人を見て笑った。
『私も楽しみにしてるからね』
手を振り何事もなかったかのように、ペダルをこぎ始めるのだった。
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