17th down
河川敷横を清十郎の後ろについて走る清香。

ここの近くにはキミドリスポーツというスポーツ用品店があったはずだ、と記憶を思い起こす。

案の定左手に見えてきた。


ふと前を見ると、見覚えのある少し背が低い人物が二人走ってくる。

清香は目を見開いた。

体格に見覚えがある。

あのときの、泥門のアイシールド21だ。


清香と清十郎が二人とすれ違う直前、アイシールド21が清十郎と危うくぶつかりそうになる。


アイシールド21の動きが不自然になる。
清十郎のことに気づいたのだろうか。


清香は急に止まった清十郎を見て速度を落とした。

「アイシールド21か」

清十郎はチラリとアイシールド21のほうを見て、呟いた。

ドキリとする本人。

「は、はい…」


もう一人はキミドリスポーツへと向かった。

あの選手には見覚えがない。
新加入かな。

清香はハンドルに両腕をのせ、その少年を眺めた。


清香たちが来た方向から凄い音とともにバイクがやってくる。

『ノーヘルで二ケツって…』

清香は苦笑いをした。

しかし清香はあることに気づく。

『もしかして』

キミドリスポーツ前の少年の手には封筒に入ったお金。

その少年の手から封筒がひったくられる。

『なにやってんの少年!!』

清香は叫ぶと、急いで方向転換しキミドリスポーツ前へと自転車を進ませる。


慌てる少年をなだめる作業からだ。

清十郎とアイシールド21は直接追いかけ始めた。


『少年!後ろ乗って!』

「だ、誰っすか!?」

『そんなことより、お金!!』

二ケツは駄目なんだけど背に腹は代えられない!と清香は少年が後ろに乗るや否や、ペダルをこぎ始める。


「おお落ちるっ!!」

『しっかり捕まって!』


多少のタイムロスはあったが、どうにか黒美嵯川にかかる橋のところまでたどり着く。

橋の真ん中から火が上がり、清香と少年は急いだ。

少年は自転車から飛び降りる。

そして爆風で舞い散るお札を一枚も逃さずキャッチした。



しばらくして警察が来た。

清十郎は少し事情聴取があったらしく、清香はアイシールド21と少年の近くで待機していた。


すると先ほどの少年が話しかけてくる。

「さっきの、あざっした!!」

『気にしないで。それにしても少年のキャッチング、凄かったよ!レシーバーなの?』

清十郎が戻ってくる。

「先ほどの様子を見る限り間違いないな」

清香の話が聞こえていたようで、付け加える。

「あ…ありがとうございました!」

アイシールド21はぺこりとお辞儀をして話しかけてくる。

それに続いてレシーバーの少年も。


「秋までに全てを整えてこい。王城も秋には倍強くなる」

清十郎は改めて二人に向き直る。

「決勝で待つ」

そういってランニングを再開する清十郎。

清香は二人を見て笑った。

『私も楽しみにしてるからね』

手を振り何事もなかったかのように、ペダルをこぎ始めるのだった。


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(17/22)

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