校内に入り、数人の生徒とすれ違う。
そのたびに二度見される清香。
『私って不審者に見える?』
清香は至極真面目に聞いた。
伊知郎はその質問に吹き出す。
「なハズないだろう?…そうだね。考えられるのは清香が進にそっくりだからじゃないかな」
そっか…と呟く清香。
別に弟に似ていると言われるのは慣れている。
しばらく歩くと、講堂のような場所に出る。
アメフトの選手らしい人が数人トレーニングしていた。
「部室についたな」
『え、ここ部室っ!?』
ステンドグラスが煌びやかに光を部室内に注ぎ込んでいる。
顧問室だろうか、隅の方の部屋から庄司が出て来た。
『監督!』
「きたか。入学案内の資料は用意しておいた。入ると良い」
清香は高見に手を振ると庄司と一緒に部屋に入っていった。
手を振り返す高見の横にトレーニングしていた選手の1人、神前瞬がやってくる。
「高見さん、今のは誰ですか?やけに親しそうでしたね。それに進に似ていましたが…」
「ああ、後で解るさ」
高見は少し口角を上げ、清香が去っていった方向を見た。
prev│next
(7/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください