清十郎が両面に出ることを清香に報告して一週間がたった。
スタミナ面ではどうやら間に合いそうだ。
しかし問題がある。
三閣パンクスとの試合、王城はぎりぎりで勝利する。
決して不利な試合ではなかったはずだ。
『清十郎…まだ両面のことは考えないでいいから』
「いや、今準備しなければ間に合わない」
清十郎が焦っていることが清香には分かった。
その日の試合後、清香は高見に相談することにした。
清十郎には先に帰って貰うよう、事前に言っていたのだ。
「なんだい?急に話があるだなんて」
『清十郎のことなんだけど』
高見は真面目な顔になって清香に向き直る。
「進がどうかしたのかい」
『両面に出たいんだって』
高見は黙った。
何を考えているか、清香には分からなかった。
「また急だね」
『ごめん、本当は一週間前から分かってたことなんだけど』
高見は清香の謝罪を制す。
「いや、俺も考えていた。今の王城には弱点があるってね」
弱点…つまりは攻撃力のことだ。
『清十郎にはスタミナをつけさせてる。でも焦ってるのが分かるっていうか…』
「今日の進がいつもと違って見えたのもそのせいかな」
清香は多分、と呟いた。
『春人が戻ってきたら、清十郎の両面のことを視野にいれて欲しいな』
「言われなくても」
清香は高見に微笑んだ。
「進の別メニューは清香にまかせるよ。監督にも相談しなきゃね」
高見の反応が思ったよりも良く、清香は少し面食らった。
しかしすべては春人次第。
清香は春人のお見舞いのことも、高見に相談することにしたのだった。
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