14th down
清十郎が両面に出ることを清香に報告して一週間がたった。

スタミナ面ではどうやら間に合いそうだ。



しかし問題がある。



三閣パンクスとの試合、王城はぎりぎりで勝利する。

決して不利な試合ではなかったはずだ。


『清十郎…まだ両面のことは考えないでいいから』

「いや、今準備しなければ間に合わない」


清十郎が焦っていることが清香には分かった。


その日の試合後、清香は高見に相談することにした。

清十郎には先に帰って貰うよう、事前に言っていたのだ。



「なんだい?急に話があるだなんて」

『清十郎のことなんだけど』

高見は真面目な顔になって清香に向き直る。

「進がどうかしたのかい」

『両面に出たいんだって』

高見は黙った。
何を考えているか、清香には分からなかった。


「また急だね」

『ごめん、本当は一週間前から分かってたことなんだけど』


高見は清香の謝罪を制す。

「いや、俺も考えていた。今の王城には弱点があるってね」

弱点…つまりは攻撃力のことだ。

『清十郎にはスタミナをつけさせてる。でも焦ってるのが分かるっていうか…』

「今日の進がいつもと違って見えたのもそのせいかな」

清香は多分、と呟いた。

『春人が戻ってきたら、清十郎の両面のことを視野にいれて欲しいな』

「言われなくても」

清香は高見に微笑んだ。

「進の別メニューは清香にまかせるよ。監督にも相談しなきゃね」

高見の反応が思ったよりも良く、清香は少し面食らった。

しかしすべては春人次第。

清香は春人のお見舞いのことも、高見に相談することにしたのだった。


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(14/22)

bkm



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