家について晩ご飯を食べ終えた後も、清香と清十郎は二人で今後のことを考案していた。
ノートを清十郎の部屋に持ち込む清香。
清十郎はいつものようにベッドの上でダンベルを持ち上げていた。
『清十郎はまずスタミナをつけてね。そうしないと、今から清十郎がしようと思っていることが何もできないんだから』
フローリングに座り込むと、清香は話し始める。
清十郎が攻撃に加わるとすると、伊知郎ともフォーメーションの相談をしなきゃな。
そのためには春人が帰ってくることが必要だよね。
しかし清香の脳裏には、清十郎を悲しげに見つめる桜庭の姿が残っていた。
『さっき連絡がきたよ。春人は春季関東大会には間に合うんだって』
「…そうか」
『…』
清香は横にいる清十郎を覗き込んだ。
「どうした」
なんでもない、と向き直る清香。
清十郎は春人のことをどう思っているのだろうか。
きっと春人が今考えているのは私が昔、清十郎に対して持っていた気持ちと同じ。
だから私には春人の気持ちが少し理解できる。
『あとは当人の気持ち次第…か』
清香はベッドに寄りかかる。
ギシッとベッドが軋む。
その言葉を清十郎が聞いていたのか聞こえていなかったか、清香には分からなかった。
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