清十郎はアイシールドを追う。
大丈夫、追いつける。
清十郎がその右腕を伸ばした。
『やった…!』
しかし、アイシールドは急に加速する。
誰もが目を見開いた。
『え』
嘘、でしょ。
清十郎が抜かれた。
おそらくスピードは4秒前半、いや確実に清十郎より速い。
タッチダウンのコールが響き、王城ベンチ陣は立ち尽くす。
「進が抜かれた…」
清香の隣にいた高見は呆然としている。
泥門の攻撃が終わり、清十郎が戻ってくる。
その目は明らかにアイシールドに向けられていた。
悔しいんだね。
清香は思った。
こんな清十郎を見るのは久しぶりだ。
今話しかけてはいけない。
そんな気がして、清香は清十郎に話しかけなかった。
王城は桜庭の代わりに入った一年がタッチダウンを返す。
そして試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
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