横で桜庭の件について監督と話していた高見がハッとして近寄ってくる。
「清香、その腕どうしたんだ!」
え?と自分の腕を見る。
清香は忘れていた。
ジャージを脱いで半袖Tシャツの状態になると、阿含につけられた痣が見えるということを。
慌てる清香を見て、高見は自分の長袖ジャージを清香の肩からかける。
「見られたら嫌なら、着ておくと良い。話せるなら話してくれ」
『ち、ちょっと色々あってね』
高見は腕を隠す清香を見て口を歪ませた。
双眼鏡で王城ベンチのざわつきを確認していた阿含と雲水。
阿含は急に笑い出す。
「清香を掴んだ痕、痣になってやがる!」
雲水は阿含から双眼鏡をひったくり、清香を見た。
今はジャージを肩にかけている清香。
痣の痕は見えない。
「清香に何をした」
「ちょーっと腕を握っただけだ。まさかあんなに痕がつくとは思わなかったけどな」
雲水は先ほどの阿含に対する清香の反応を思い出した。
このことがあったから…か。
中断していた試合が始まった。
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