アイシールドのスピードはどんどん上がっていく。
清十郎は本気で止めに行く。
『楽しそうだな、清十郎』
本気で止める相手がいるというのは本当に嬉しいことである。
「珍しいな…進がムキになるとは」
庄司が呟く。
理由を知っている清香は苦笑いした。
『向こうの1番、アイシールドと清十郎が一騎打ち出来るようにしてますよ』
「進を抜くことはできんだろう」
『おそらくは』
その二人の会話を聞く桜庭。
俯き、頭を抱える。
時計は残り2:51。
清香はふと桜庭をみる。
『春人…?』
そのときだった。
桜庭が剥がれたシールを拾うため、グラウンドへと出ようとする。
『ちょっと、春人!?』
「清香、危ない!」
慌てて寄ろうとすると、急に誰かから引っ張られる。
びっくりしてその人物を見ようと桜庭から目をそらす。
すると同時にアイシールド21がベンチへと突っ込んでくる。
声が出なかった。
目の前で桜庭が突き飛ばされて倒れる。
観客席から悲鳴が飛ぶ。
『い、伊知郎。ありがとう』
先ほど清香を庇った人物、つまり高見は安堵する。
しかしすぐに桜庭を見て、顔を青ざめる。
『は、春人…!救急車!!』
急いで駆け寄り患部をファンに見せないように着ていたジャージをかける清香。
ミラクル伊藤がスタッフと共に車まで桜庭を運んでゆく。
試合は一時中断していた。
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