清香は自分を引き止める人物を見た。
金髪のとがった髪にピアス。
鋭くつり上がった目は清香を捉えていた。
『……誰?』
清香は手を振り解いた。
自分は神龍寺生としてこの場にいる。
男装しているのに何故この男は自分の正体に気づいた?
清香は考えた。
しかしすぐに清十郎に視線を戻す。
『いない〜!?』
まだ金髪男がこちらを見ていたので、後で話そうと呟いた。
金髪男は頷くと試合に戻っていった。
試合が再開され、残り時間は9秒。
アイシールドをつけた21番に金髪男のボールが渡り、走り出す。
『……逆だし』
21番は逆走していた。
金髪男にどやされ、元のコースへと戻り、再び走り出す。
『なんだ…こいつ』
4秒8…?いや、清十郎を越えているかもしれない。
清香は息を飲む。
タッチダウンと同時に試合が終了した。
スコアは6-3。
泥門の逆転勝ちだ。
歓声が巻き起こり、清香も拍手を送る。
『でもアイシールド21って』
「おい、てめぇ」
先程の声が聞こえる。
振り向くと金髪男がいた。
『何ですか?泥門の1番さん』
「しらばっくれんな。どうしてここにいる?アメリカにいるはずだろうが。」
『…あ。私のこと知ってる人?短期留学だったから帰ってきたんだよ』
清香はホッとした表情で金髪男に答える。
「で、神龍寺ってワケか?女だろうが」
うっ…と言葉に詰まる清香。
『色々あってさ。追求しないでほしいな。ところで名前は?』
「…蛭魔妖一」
『妖一ね。よろしく』
握手をし、メアドを交換した清香。
じゃあ、と裏門から出て行った。
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