20th down
清香は泥門ベンチにたどり着く。
やはり慌ただしい。

そりゃ清十郎が出たからな、と一人納得する清香。

周りから泥門ベンチを眺めていると、一人泥門の制服を来た男子がいる。


体格的には選手ではない。

清香はそう思った。

清香はその少年がこちらを一瞬振り向いたとき、目を見開いた。

『…アイシールドだ』

その少年の体格はアイシールド21と全く同じだった。

まさかアイシールドが見つかるなんて夢にも思わなかった清香。

『妖一に聞こうと思っていただけだったのにな』

まあこれで、泥門のアイシールドが清香の知っているアイシールドじゃないと分かったのだが。


向こう側にいた泥門のマネージャーらしき女性が清香に気づく。

「あら?あなたは…」

『あーななななんでもないです!』

蛭魔以外と話すつもりはなかった清香は、急に話しかけられ驚く。

それに気づく蛭魔。

「糞マネ、向こうで進のデータまとめてやがれ」

「もう、その呼び方やめてよね!」

そういうと、マネージャーはベンチへと戻っていく。

「ケケケ、わざわざ偵察に来やがるなんてご苦労なこった」

清香は先ほどの少年を指さして言った。

『あの少年ってアイシールド21でしょ?』

蛭魔はピクッと眉を動かす。

「…取引と行こうじゃねーか」

やっぱりアイシールド21の正体はあの少年だと確信する清香。

『私がアイシールド21の正体をバラしたら?』

「てめぇが進の姉ってことをバラす。メディアにもな」

清香はため息をつく。

『それは別にバレてもいいんだけどね。てかもうバレてるし。私は正体バラすなんてことしないから大丈夫』

「おーおー、よく喋りやがるな。他に知られたらマズいことでもあんだろうなあ」

清香は笑う。

『ある訳ないね』

蛭魔は清香の反応を眺める。

「例えばだ。ノートルダム大にとある高速ランナーがいたとする」

清香は黙った。
本物のアイシールドのことを言っているのは一目瞭然だった。

「そこへ、ある少女が留学しにやってきた。その走りを見て、その少女はそのランナーに興味を持つ」

蛭魔は尚も続けた。


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(20/22)

bkm



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