清香は泥門ベンチにたどり着く。
やはり慌ただしい。
そりゃ清十郎が出たからな、と一人納得する清香。
周りから泥門ベンチを眺めていると、一人泥門の制服を来た男子がいる。
体格的には選手ではない。
清香はそう思った。
清香はその少年がこちらを一瞬振り向いたとき、目を見開いた。
『…アイシールドだ』
その少年の体格はアイシールド21と全く同じだった。
まさかアイシールドが見つかるなんて夢にも思わなかった清香。
『妖一に聞こうと思っていただけだったのにな』
まあこれで、泥門のアイシールドが清香の知っているアイシールドじゃないと分かったのだが。
向こう側にいた泥門のマネージャーらしき女性が清香に気づく。
「あら?あなたは…」
『あーななななんでもないです!』
蛭魔以外と話すつもりはなかった清香は、急に話しかけられ驚く。
それに気づく蛭魔。
「糞マネ、向こうで進のデータまとめてやがれ」
「もう、その呼び方やめてよね!」
そういうと、マネージャーはベンチへと戻っていく。
「ケケケ、わざわざ偵察に来やがるなんてご苦労なこった」
清香は先ほどの少年を指さして言った。
『あの少年ってアイシールド21でしょ?』
蛭魔はピクッと眉を動かす。
「…取引と行こうじゃねーか」
やっぱりアイシールド21の正体はあの少年だと確信する清香。
『私がアイシールド21の正体をバラしたら?』
「てめぇが進の姉ってことをバラす。メディアにもな」
清香はため息をつく。
『それは別にバレてもいいんだけどね。てかもうバレてるし。私は正体バラすなんてことしないから大丈夫』
「おーおー、よく喋りやがるな。他に知られたらマズいことでもあんだろうなあ」
清香は笑う。
『ある訳ないね』
蛭魔は清香の反応を眺める。
「例えばだ。ノートルダム大にとある高速ランナーがいたとする」
清香は黙った。
本物のアイシールドのことを言っているのは一目瞭然だった。
「そこへ、ある少女が留学しにやってきた。その走りを見て、その少女はそのランナーに興味を持つ」
蛭魔は尚も続けた。
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