17th down
泥門の攻撃が始まり、ボールが蛭魔からアイシールドへと手渡される。

機動力を生かしてか、右へと走り込むアイシールド。
大田原を含む、中央のディフェンスは大きく右に寄る。

しかし、アイシールドは右を突破する寸前に方向転換し、中央へと戻ってきた。

それに反応できたのは清十郎だけだった。

フリーのブロッカーであった77番を軽やかに避けると、真っ直ぐにアイシールドへと突っ込む。

アイシールドは一瞬動きが鈍るが、覚悟を決めたように清十郎へと向かった。

体をスライドさせるように避けながら、清十郎の伸ばされた左腕を抜けた。

しかし、清十郎は右腕を最大限に伸ばす。

それに為すすべもなく捕まるアイシールド。

右腕が肋骨側のプロテクターへと入るのが分かる。

清香は息をするのも忘れていた。

『これが、スピアタックル…』

そして、清香は気づいた。

このアイシールドはやはり、素人だと。

清十郎も気づいているはずだ。

直接対決した者なら、すぐに経験で分かるはずだ。

経験者ならば腕を使い、ブロッカーを弾く。

しかし、プレー再開した後の清十郎を弾く様子など微塵も感じられない。

ただただ、逃げるだけ。

清十郎はアイシールドを捕まえると、そのまま支えている。

そこへ大田原が近づき、アイシールドからボールをもぎ取る。

『行けー!清十郎!!』

清十郎はそのボールをもう一度大田原から受け取り、逆方向へと走り出す。

インターセプトだ。

次々にブロッカーを弾き、30番のランナーも追うが、そのスピードには誰も追いつけない。


タッチダウンという声がグラウンド全体に響いた。


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(17/22)

bkm



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