泥門の攻撃が始まり、ボールが蛭魔からアイシールドへと手渡される。
機動力を生かしてか、右へと走り込むアイシールド。
大田原を含む、中央のディフェンスは大きく右に寄る。
しかし、アイシールドは右を突破する寸前に方向転換し、中央へと戻ってきた。
それに反応できたのは清十郎だけだった。
フリーのブロッカーであった77番を軽やかに避けると、真っ直ぐにアイシールドへと突っ込む。
アイシールドは一瞬動きが鈍るが、覚悟を決めたように清十郎へと向かった。
体をスライドさせるように避けながら、清十郎の伸ばされた左腕を抜けた。
しかし、清十郎は右腕を最大限に伸ばす。
それに為すすべもなく捕まるアイシールド。
右腕が肋骨側のプロテクターへと入るのが分かる。
清香は息をするのも忘れていた。
『これが、スピアタックル…』
そして、清香は気づいた。
このアイシールドはやはり、素人だと。
清十郎も気づいているはずだ。
直接対決した者なら、すぐに経験で分かるはずだ。
経験者ならば腕を使い、ブロッカーを弾く。
しかし、プレー再開した後の清十郎を弾く様子など微塵も感じられない。
ただただ、逃げるだけ。
清十郎はアイシールドを捕まえると、そのまま支えている。
そこへ大田原が近づき、アイシールドからボールをもぎ取る。
『行けー!清十郎!!』
清十郎はそのボールをもう一度大田原から受け取り、逆方向へと走り出す。
インターセプトだ。
次々にブロッカーを弾き、30番のランナーも追うが、そのスピードには誰も追いつけない。
タッチダウンという声がグラウンド全体に響いた。
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