16th down
清十郎にヘルメットを手渡す清香。

何も言わなかった。

言わなくても通じていた。


頑張って。


それに答えるように清十郎は軽く頷いた。


清十郎がヘルメットをかぶり、グラウンドへと出て行く。

そのとき、蛭魔に蹴られたアイシールド21が清十郎の前に押し出される。

清十郎は自分より小さいアイシールドを見つめる。

しかし、どちらも喋らない。

『…うわ、無言つらい』

アイシールドは道を譲り、清十郎はそのまま王城ディフェンス陣の元へ。

合流したとき、蛭魔が大声で次の作戦、ロングパスだと宣言しだした。

さすが妖一というか…と清香は苦笑する。

誰も引っかからないと思ったとき、ディフェンス陣から大田原の声が聞こえてくる。

どうやら悩んでいるようだ。

大田原が清十郎の背中をばしん!と叩いていることから、多分清十郎が何か言ったのだろうと清香は推測した。




「進が出て周りの顔つきが変わったな」

「いつものホワイトナイツに戻っただけだ。これで勝負決まりだな」

阿含は雲水の言葉に返答すると、双眼鏡を覗き込む。

そして舌打ちをした。

「どうした?」

阿含の突然の舌打ちに驚く雲水。

その双眼鏡は王城のベンチを向いていた。

「清香の奴、笑ってやがる」

「…そうか」

「そんなに進の試合を見たかったのかねえ」

雲水は何も言わなかった。

双子の弟を応援するということ。
きっと清香の気持ちは自分と同じ、そう考えた。

「…」


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bkm



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