14th down
『泥門はほぼ全員が両面。選手層が薄いなら仕方のないことだけど。寄せ集めのチームの守備なんてたかがしれてる。なにを仕掛けてくるかな』

清十郎はしばらく黙り込む。

「ホワイトナイツの攻撃は素人にとめられる代物ではない。ありえるのは、ロングパスのインターセプト…」

ショートパスではボールの滞空時間が短すぎる。
ランならなおさらだ。

桜庭がヘルメットをかぶり、グラウンドに出ると同時に、客席から悲鳴に似た歓声が響き渡る。

『うるさいなー』
「いつものことだ」

ロングパスのインターセプト…。
一番狙われるのは桜庭だ。

清香は桜庭に向かって叫ぶ。

『相手をしっかり見て!!高さの利を生かしてね!』

桜庭の高さならそうそうのパスは通る。
なにか仕掛けられない限りは。





「ったく、いつから王城のエースは桜庭になったんだ?」

冷やかしの笑いを桜庭に浴びせる阿含。

「ジャリプロってのも大変だねえ」

「王城のランニングバックは一年らしい。確かにスポットライトを浴びるなら二年桜庭へのロングパスだが」

「しかも、泥門のやつらそのランを止めるために初っぱなからゴールラインディフェンスしいてやがる。バカじゃねーのか」

雲水がそういったときだった。

言葉通り、高見の投げたパスは桜庭へ。

しかし桜庭はボールを掴み損ね、その場に滑り込むようにしてボールを抱え込んだ。

「今のパス取ってそのまま走れたじゃねえか。俺なら殺してるね。なにがエース桜庭だか」

「確かに20ヤードは行けてたな。だが、テレビや客が勝手にエースに祭り上げて、本人が一番辛いんだ」

阿含はそう言う雲水をチラリと横目で見た。






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bkm



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