13th down
プレーが再開される。


清香は息をのんだ。

清十郎はアイシールドの走りに見入る。

それほどまでにその走りは見事だった。


『凄い…』


まず一人を抜き、カットしながら立て続けに二人を抜く。

普通のランナーなら王城のラインの立ち直りに崩されるが、高速のランナーならば話は違ってくる。

泥門のラインは0.5程しか保っていないが、それで十分だった。

「走りに怯えが消えた」

『ここを抜かれたら、もうダメだね』

一人が追うが、追いつけるはずもなかった。

先制点が泥門に入る。

誰もが予想外だった。


スコアボードに6-0と刻まれるのを何も言えずに見守る王城の選手達。

清香は記憶を遡る。

鉄壁を誇るホワイトナイツからタッチダウンをとったのは、神龍寺以来なはず。

こんな逸材がいたなんて。

「監督、自分は敵を見誤りました。おそらく彼は長年に渡り走力の特殊訓練を施された人物です」

清香は頷いた。
スポーツ未経験者ではありえないカットだ。

「40ヤード走4秒6程と思われるスピードに…超人的なカット。あれでもしアメフト初心者なのだとしたら…」

『ありえないね』

後で妖一に聞いてみるか、と心に決める清香。

拳を握り締めている清十郎を見て、清香は言った。

『清十郎、戦いたい?』

「もちろんだ」

眼光鋭い清十郎にびくりとする清香。
そうだよね、戦いたいに決まってる。

トライフォーポイントが始まる。

「大田原さんが珍しく止められてたね。素人でも二人がかりだとキツいのかな」

桜庭が思い出したように清十郎に向かって呟く。

おそらくは清十郎の穴を埋めるためのカバーのせいで、自分の守りが疎かになっていたのだろう。

「バカなんだバカ!」

庄司が大田原に向かって叫ぶ。

「バカは黙って突っ込め!!」

それが大田原さんのいいとこらしい。
そう聞いていた清香は笑った。

見事、大田原のチャージでトライフォーポイントは防いだ。

次は、王城の攻撃だ。


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bkm



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