12th down
「ったく、進がベンチならここに来た意味ねーっての」

「そういうな、大田原は出ているんだ。せめてウチの脅威になる選手だけでもビデオに撮せばいい。それに泥門のアイシールドも気になる」

だるそうに欠伸をする阿含に、それをたしなめる雲水。

暇だとぼやきながら阿含は双眼鏡を見た。

「阿含、お前は奴をどう思う?」

「デビルバッツなんて無名のチームにも意外な掘り出し物がいるもんだなー」

雲水は頷く。

「いい脚だよな」

「あーいい足だね、欲しくなる。服の上からでも判るね、腰がイイ」

雲水は慌てて双眼鏡をひったくる。

「何の話をしてるんだ!」

阿含はサングラスを付け直しながら、笑う。

「雑魚チームにちょっと素早いへっぴり腰の新人が一人。それだけの話だ」

雲水はふぅとため息をつく。

このようにいつも真面目にいてもらいたいものだ。

「それに、清香に比べちゃ、あの女も対したことないんじゃないの」

「は?」

「清香のいいとこはな、威勢がいいことだ。そして、それに伴う知識もある。体力も普通の女よりあるしな」

「だから、清香のことはもういいから。試合に集中してくれ」

雲水は少しでも、阿含が真面目だと思った自分を反省した。


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(12/22)

bkm



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