「ったく、進がベンチならここに来た意味ねーっての」
「そういうな、大田原は出ているんだ。せめてウチの脅威になる選手だけでもビデオに撮せばいい。それに泥門のアイシールドも気になる」
だるそうに欠伸をする阿含に、それをたしなめる雲水。
暇だとぼやきながら阿含は双眼鏡を見た。
「阿含、お前は奴をどう思う?」
「デビルバッツなんて無名のチームにも意外な掘り出し物がいるもんだなー」
雲水は頷く。
「いい脚だよな」
「あーいい足だね、欲しくなる。服の上からでも判るね、腰がイイ」
雲水は慌てて双眼鏡をひったくる。
「何の話をしてるんだ!」
阿含はサングラスを付け直しながら、笑う。
「雑魚チームにちょっと素早いへっぴり腰の新人が一人。それだけの話だ」
雲水はふぅとため息をつく。
このようにいつも真面目にいてもらいたいものだ。
「それに、清香に比べちゃ、あの女も対したことないんじゃないの」
「は?」
「清香のいいとこはな、威勢がいいことだ。そして、それに伴う知識もある。体力も普通の女よりあるしな」
「だから、清香のことはもういいから。試合に集中してくれ」
雲水は少しでも、阿含が真面目だと思った自分を反省した。
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