8th down
(少し注意)


雲水から会場で話そう、と言われる。

清香が頷くと、雲水は偵察メンバーと共に正門へと向かった。


そして講堂内には一休と阿含、清香のみになった。

清香は座り込んでいる一休の近くに寄る。

『えと、一休…?』

「なんで、なんで俺に黙ってたわけ?」


清香は考えを巡らせる。

一休の言っていることはどのことなのだろうか。
本名はすでに名乗っていた。
しかも一休は私が女だということに、三番目に気づいた。

一休は同学年ということもあり、神龍寺でもかなり清香のことを知っている方だった。

「やめるんなら、俺に一言言ってくれても良かったじゃん!」

『…一休、あのね』

「言い訳なんて、聞きたくない」

そういうと、一休は講堂から出て行った。

清香はその背中を目で追った。

「あーあ一休を怒らせたな」

『はあ…どうしよう』

「いーんじゃねーの。ほっといて」

投げやりな阿含を睨む。

『一休は友達だよ、仲直りしたい!それに、理由も聞いて欲しい!』
阿含はニヤリと笑った。

「そう、その理由な」

『え?』


清香は背筋がぞくりとした。

周りには誰もいない。

二人きりの状況。


「お前が神龍寺に来た理由っての、教えろよ」

阿含は清香の右腕をつかむ。

その握力の強さに、清香は顔を歪めた。

『あ、阿含…?』

「な?俺だけでもいいから、教えろよ。てか、女を吐かせる方法なんていくらでもあるんだけどな」

清香は硬直した。
なんとなく、分かった。

清香は阿含から逃れようと必死にもがく。

『お願い、やめてよ!』

「あーあー暴れるなって。痛くしねーからさ」

『いいの?阿含はともかく、私が会場に行かないと、王城の皆は怪しむよ?』

阿含は、はぁと息を吐き、腕を離す。

「からかっただけだ。んな怒るなよ」

『…』

清香は阿含を再度睨む。

そして、講堂から出て行った。



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