今日は泥門戦。
清香は清十郎と共に家を出た。
『ふあー…』
「寝不足か」
『いや、それもあるんだけど…今から神龍寺に行くのが憂鬱で』
清十郎は顔をしかめた。
「仕方ないだろう。自分で蒔いた種だ」
『分かってるって、試合前には戻るから』
そういって、玄関においてある原チャリにキーを差し込む。
「ああ」
神奈川の神龍寺につく。
清香は門前に原チャリを停めると、長い長い階段を見上げる。
『きっついな…』
ゼェハァと階段を上る清香。
体力が落ちたのだろうか、今まではあまり息が乱れなかったのに。
携帯に着信がくる。
急いで取り出すと、ディスプレイには“阿含”の文字。
『も、もしもし』
「今どこにいやがる!」
怒鳴られ、ムカッとする清香。
『神龍寺の正門!』
「ちゃんと約束守ってやがるな。俺らは講堂の横にいるぜ」
『当たり前じゃん、今誰がいるの?』
プツッと切れる携帯。
清香の血管も切れそうだった。
講堂の横の少し開けた場所に道着を着た生徒達が大勢いた。
『は、入りづらい』
ふと後ろに気配を感じ振り返ると、仙洞田監督がいた。
『先生!』
「待っておったよ清香…」
仙洞田監督の呼びかけで、生徒は講堂に入る。
清香も仙洞田監督と共に講堂へ入る。
いつもは絶対にいない阿含ですら、雲水の隣に気怠そうにあぐらをかいている。
「今日は泥門と王城の試合である」
静まり返った講堂に仙洞田監督の声だけが響く。
「しかし、試合に行く前にまずは我らが神龍寺元生徒、進藤から話があるとのことだ」
清香の今の格好はジャージ。
神龍寺では隠すためにさらしを巻いていたが、今は巻いていない。
清香はゆっくりと口を開いた。
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