3rd down
---王城高校

ホワイトナイツの練習中、フィールドに響き渡る着信音。


「あれ…電話?」
一年のRBである猫山がこの音に気づき、声を発する。

「集中しろ、猫山。監督の電話だ」
よそ見をする猫山を諫める長身のQB、高見。

「でも確かに妙だな」

今まで監督の携帯が練習中に鳴ったことはない。
つまり、監督は意図的に着信音が鳴る設定に変えていたと考えられる。

高見の脳裏に一つの考えがよぎった。

「…なワケないか」

猫山に一言、すまないと詫び、練習を再開した。


庄司は待っていたとばかりに携帯を手に取り、会話をし出す。

「もしもし。清香か」

“はい!お元気そうで何よりです”

電話越しに明るい少女の声が微かに聞こえる。

庄司の近くで練習していた数人は驚いて庄司を見たが、ぎろりと睨まれたことですぐに練習に戻る。

「で、どうするんだ?」

庄司は以前に話していたであろう話題に入った。

電話越しの少女はハキハキと答える。

“今泥門に来ています。どうやら試合には間に合ったみたい。今日、この試合の後、そちらに伺います”

うむ、と返す庄司。

「進と桜庭が向こうにいるはずだ。一緒に来ると良い」

少女は分かりましたと言い、電源を切る。



休憩時間になり、選手達が集まる。

「…監督が女の子と喋ってた」
誰かが呟いた。

それに呼応する数人。
「俺も聞いた」
「…俺もだ」


「まさか…ね」
高見の呟きに気づいたのは誰もいなかった。


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