「清香ちゃんはアメリカ留学していたのねー」
『はい』
ディレクターに話し、ここは編集でカットしてもらうように頼み込んで、リポーターの質問に答える。
「じゃあ最後に桜庭くんにインタビューするから案内してくれる?」
清香はキョロキョロと桜庭を探す。
桜庭はすぐに見つかる。
先ほどのベンチプレスの場所にいたのだ。
清香はリポーターをベンチプレスへと案内する。
「桜庭くーん!」
駆けてゆくリポーターを眺め見る。
「ごめんね、彼女行動力がありすぎて」
ディレクターが申し訳無さそうに話しかけてくる。
『いえ、構いません』
「庄司監督が指定した時間までもう少しだから、もうちょっと案内してくれるかな」
『はい!』
ディレクターとカメラマンと共にベンチプレスの器具へ向かう。
そこには桜庭だけでなく、清十郎と三年の大田原誠もいた。
ベンチプレスを行っている清十郎の横には先ほどのリポーターがいる。
「すごい量の重りですね!何tくらいあるんでしょうか!」
『…』
「いやtはない、tは…」
ディレクターは冷や汗を流しながら呟く。
清香は何も言えなかった。
「私も、20kgに挑戦してみます。よいしょ!」
横のベンチに寝転び、両方に5kgずつの重りを乗せたリポーターがバーベルを持ち上げる。
ふらふらと持ち上げるリポーター。
20kgなら女性は普通だろう。
そのときだった、ドゴン!という大きい音とともに悪臭が漂う。
『くさっ…!?』
その悪臭を間近で浴びたリポーターは気を失う。
慌ててディレクターとカメラマンがリポーターを介抱する。
「き、今日はもう無理そうだな。じゃあ取材は終わりにしよう」
「そ、そうッスね!」
スタッフ数人がやってきて、気を失ったリポーターを運び出した。
prev│next
(3/22)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください