近くにいた守備チームに手渡しでタオルとドリンクを渡してゆく。
近づいてくる汗だくの清十郎にタオルを渡し、苦笑いをこぼす清香。
『清十郎の練習風景見たの初めてだよ。いつもこんなに激しいの?』
清十郎はヘルメットを外し、額に流れる汗を拭う。
「昨日スタメンから落ちたのは己の心に隙があったからだ。その隙を埋めるために俺は鍛錬に励む」
『なるほどね』
本当は春人を庇ったんだけどね、と心の中で呟く清香。
『頑張ってね、応援する』
そういい踵を返し、後から遅れてきた攻撃チームにドリンクを配り始める清香。
清十郎はその後ろ姿をじっと眺める。
『伊知郎、春人。はいこれ!』
二人でパスの確認をしながら歩いてくる高見と桜庭にドリンクを渡す清香。
高見は清香に気づくと、微笑んだ。
桜庭はヘルメットを外してドリンクを受け取る。
「ああ、清香ありがとう」
「清香!早速仕事してるんだね。進には配ったの?」
頷き、あっちだよと清十郎の方を指差す。
一瞬目があったが、すぐに目をそらされる。
『あ、清十郎…』
何か用かと思い近づこうとするとドリンクを配り終えた小春に飛びつかれ、ふらつく清香。
「清香さんっ!休憩が終わりますよ?次の休憩のためにタオルとドリンクの用意をしないと!」
苦笑いする桜庭と高見を横目で見ながら、引きずられるように小春に連れて行かれる清香。
「あーあ、行っちゃいましたね高見さん。もっと話したかったんじゃないんですか?」
桜庭はふぅと息を吐いた高見を眺めながら言う。
高見はそれに答えるように口角を上げた。
「まあいいじゃないか。今日からずっと同じチームなんだから」
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