清香はクラスの女子の質問を受け終わると、新しい教科書でずっしりと重い、まだ型くずれしていないカバンを肩に掛けた。
クラスにちらほら残っている女子に手を振りながら教室を出る。
一度部室に行っているので場所は分かる。
そう考えながら部室のある方向に足を向けた。
無事に部室につき、顔を覗かせると案の定始まっている練習。
人気のない場所でさっとジャージに着替え、先日庄司から貰っていた選手名簿をバインダーにつけて外へと向かう。
指示する庄司の姿を見かけると、その隣に駆け寄る清香。
『監督、遅くなってしまいすみません』
「清香か。進から理由は聞いている。心配しなくてもいい」
選手達に喝をとばしながら清香に話す庄司。
清香は目の前で練習をしていた清十郎を見る。
『(清十郎…ナイス!)』
心の中で血を分けた弟に語りかける。
庄司は怖いのだ。
もちろんいくら阿含と対等に話せる清香にとっても。
『私は何をすればよいでしょうか』
「そうだな、部室裏で若菜がドリンクを準備しているからそれを手伝ってくれ」
清香は分かりました!と元気よく答え、部室の裏へと回った。
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