されるがままの清香は左手の弁当の包みの中身を心配していた。
『(これでご飯とおかずがドッキングしてたらかなりショックだなあ)』
清十郎に対して感性が変だといえる義理ではない。
清香本人も十分変である。
グラウンドのそばの木陰に着き、息を整えるラブ。
清香がふとそこを見ると、ポニーテールの小柄な女子がいた。
「連れてきたよ!小春!!」
小春と呼ばれた女の子は目をぱちくりとさせ、清香の顔をじぃーっと見つめた。
「ら、ラブちゃん…この人が進さんのお姉さんなの?」
小春は清香が眉をしかめているのに気づくとすぐに謝りだす。
「すすすいません!ラブちゃん、進さん大好きで……」
あわあわと慌てる小春を見て、吹き出してしまう清香。
『可愛いね!ラブ、昼食一緒でもいいけどちゃんと人の話は聞くこと』
いい?と首を傾げる清香。
ラブも同じように謝り始めた。
『別にいいんだよ。あの教室少し息しづらかったし』
あの野次馬のことを思い出す清香。
ラブは教室前の廊下の状況を思い出して苦笑いをした。
「確かにいっぱい人がいらっしゃってましたね。清香様のことを一目見ようと参られたのですよ」
ラブは至極真面目に語る。
小春と清香は一緒に苦笑いをした。
『ないってそれは。ところで名前はなんていうの?』
隣に腰を下ろして尋ねる清香。
「若菜小春です!アメフト部のマネージャーしてます」
目を見開く清香。
『マネージャーか!清十郎も一言言ってくれればいいのに』
むっす〜と頬を膨らます清香。
それをみたラブと小春は笑った。
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