10th down
されるがままの清香は左手の弁当の包みの中身を心配していた。

『(これでご飯とおかずがドッキングしてたらかなりショックだなあ)』

清十郎に対して感性が変だといえる義理ではない。

清香本人も十分変である。

グラウンドのそばの木陰に着き、息を整えるラブ。
清香がふとそこを見ると、ポニーテールの小柄な女子がいた。

「連れてきたよ!小春!!」

小春と呼ばれた女の子は目をぱちくりとさせ、清香の顔をじぃーっと見つめた。

「ら、ラブちゃん…この人が進さんのお姉さんなの?」

小春は清香が眉をしかめているのに気づくとすぐに謝りだす。

「すすすいません!ラブちゃん、進さん大好きで……」

あわあわと慌てる小春を見て、吹き出してしまう清香。

『可愛いね!ラブ、昼食一緒でもいいけどちゃんと人の話は聞くこと』

いい?と首を傾げる清香。

ラブも同じように謝り始めた。

『別にいいんだよ。あの教室少し息しづらかったし』

あの野次馬のことを思い出す清香。

ラブは教室前の廊下の状況を思い出して苦笑いをした。

「確かにいっぱい人がいらっしゃってましたね。清香様のことを一目見ようと参られたのですよ」

ラブは至極真面目に語る。

小春と清香は一緒に苦笑いをした。

『ないってそれは。ところで名前はなんていうの?』

隣に腰を下ろして尋ねる清香。

「若菜小春です!アメフト部のマネージャーしてます」

目を見開く清香。

『マネージャーか!清十郎も一言言ってくれればいいのに』

むっす〜と頬を膨らます清香。

それをみたラブと小春は笑った。


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