授業が終わり昼食の時間になる。
清香が鞄から弁当を取り出すときに、廊下側の窓が騒がしいことに気がつく。
「えー!?どの子どの子?」
「ほら、今弁当持ってる!」
「わー!そっくり!」
「桜庭くんと席近いじゃない!」
顔が引きつる清香。
明らかに清香のことについて話しているということが分かる。
「えーっと、清香大丈夫?移動しよっか。部室とか…」
「俺は今から少し筋トレをするので、一緒に行こう」
二人が気遣いからか、少し遠慮がちに清香に話しかける。
弁当を持って硬直していた清香はハッとして、頷こうとする。
その時だった。
「清香様〜進様〜!」
凄い勢いでドアを開け放つラブ。
清香は唖然とする。
桜庭も呆然とした。
「見つけましたよ!ご一緒に昼食しましょうよ清香様!」
『え、え』
呆気にとられる清香の手をひったくり、ドアから出て走り出すラブ。
『ちょっ……!』
助けて…と言う前にラブに連れて行かれる清香。
ドアから顔をだし、その背を見送る清十郎と桜庭は顔を見合わせた。
「どうする進」
「………大丈夫だろう」
…多分。
と清十郎の口が動いたのを桜庭は見落とすことはなかった。
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