7th down
急に教室が静かになる。

「進って…俺らのクラスの進?」
「進くんの親戚?」

ひそひそと喋る声が聞こえる。

清香は意を決して教室に足を踏み込んで、精一杯の笑顔をつくった。

『どうも〜』

芸人のような登場の仕方をしてしまったが、清香は気にする余裕すらなかった。

「じゃあ軽く自己紹介してね。」

藤川先生が清香に促した。

『し、進清香ですっ』



藤川先生がキョトンと呟いた。

「え…それだけ?なんか進清十郎君の自己紹介のときみたいですね」

先生の一言でクラスの生徒は一年生のときの自己紹介を思い出し、ああアレか…と呟き出す。

『…進清十郎とは双子で私が姉です。よく似てるって言われますが、性格は違うので皆さんよろしくお願いします!』

やっと調子を取り戻した清香。
淡々と自己紹介をすませる。

『アメリカに留学してました。アメフトは清十郎より始めたのは先です』

「清香君もアメフトするんですか。ポジションは?」

藤川先生がすかさずフォローした。

『清十郎と同じLBです』

まあ清十郎には適いませんけど、と笑う清香に対して、ある男子が質問した。

「進と姉弟ってことは、やっぱり機械に弱いのか?」

『そこらへんは清十郎と一緒にして欲しくないです!機械にはかなり強いんですよ』

にっこりと笑いながら返す清香。

「うわー…今の笑顔可愛いかも」
桜庭はクラス内の心の代弁をした。

「そうか?」
清十郎は無表情である。
機械オンチを馬鹿にされたことにムカッときたんだろう、と桜庭は思った。

「じゃあこれで紹介を終わりたいと思います。あと、せっかく清香君が来たんだから、出席順の席ではなく、くじ引きで席替えをしましょうか」

クラスの大半が、やったあ!と叫びだした。
桜庭もその一人である。


「じゃあ取りに来て」

先生は手製の割り箸くじを順に生徒に取らせて行った。

普通、清香が席替えの主役なので、清香に最初に引かせるべきだったが、先生はそんなことなどお構いなしである。

皆に引かせたあと、黒板にランダムに数字を書いていく。


『えっと…17番』


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